今回は、「積分計算(2022・東京大・理科・第1問)」の解説をします。
この記事を読むと
・「\(\int_a^xf(t)dt\) をxで微分すると \(f(x)\)」 の使い所
・\(\int \dfrac{1}{cost}dt\) の積分方法
について理解できます。
この記事は「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題:積分計算(2022・東京大・理科・第1問)
次の関数 \(f(x)\) を考える
$$f(x)=(cosx)\log(cosx)-cosx+\int_0^x(cost)\log(cost)dt$$
(1)\(f(x)\) は区間 \(0≤x<\dfrac{\pi}{2}\) において最小値を持つことを示せ
(2)\(f(x)\) は区間 \(0≤x<\dfrac{\pi}{2}\) における最小値を求めよ
(2022・東京大・理科・第1問)
解説:積分計算(2022・東京大・理科・第1問)
(1)解説:最小値を持つことを示す
$$f(x)=(cosx)\log(cosx)-cosx+\int_0^x(cost)\log(cost)dt$$
微分し\(\require{cancel}\)
$$f'(x)=(-sinx)\log(cosx)+\cancel{(cosx)}\frac{-sinx}{\cancel{cosx}}+sinx+(cosx)\log(cosx)$$
$$f'(x)=(-sinx)\log(cosx)+(cosx)\log(cosx)$$
\(log(cosx)\) をくくり出して
$$f'(x)=(-sinx+cosx)\log(cosx)$$
合成して
$$f'(x)=-\sqrt2sin(x-\frac{\pi}{4})\log(cosx)$$
\(f'(x)=0\) とすると \(x=0,\dfrac{\pi}{4}\)
符号を考えると
$$f'(x)=\underbrace{-\sqrt2}_{\color{blue}{マイナス}}\underbrace{sin(x-\frac{\pi}{4})}_{x=\frac{\pi}{4}を境に\color{blue}{マイナス}→\color{red}{プラス}}\underbrace{\log(cosx)}_{\color{blue}{マイナス}}$$
増減表は以下の通り
\begin{array}{c|ccccc} x &0& \cdots & \frac{\pi}{4} & \cdots & \frac{\pi}{2} \\ \hline f’(x) && – & 0 & + & 0 \\ \hline f(x) &-1& \searrow & 最小 & \nearrow &\end{array}
したがって \(x=\dfrac{\pi}{4}\) で最小値をとる
(証明終)
\(\int_a^xf(t)dt\) をxで微分すると \(f(x)\)
(2)解説:最小値を求める
(1)より \(f(\dfrac{\pi}{4})\) が最小値なので、これを求める
$$f(\frac{\pi}{4})=\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}-\frac{\sqrt2}{2}+\underbrace{\int_0^{\frac{\pi}{4}}cost\log(cost)dt}_{①}$$
①の計算をする
部分積分して
$$①・・・\int_0^{\frac{\pi}{4}}cost\log(cost)dt$$
$$=\left[sint\log(cost)\right]_0^\frac{\pi}{4}-\int_0^{\frac{\pi}{4}}sint\frac{-sint}{cost}dt$$
$$=\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}+\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{sin^2t}{cost}dt$$
\(sin^2t\)を変形
$$=\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}+\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{1-cos^2t}{cost}dt$$
$$=\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}+\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{cost}-costdt$$
$$=\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}-[sint]_0^{\frac{\pi}{4}}+\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{cost}dt$$
よって
$$①・・・\int_0^{\frac{\pi}{4}}cost\log(cost)dt=\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}-\frac{\sqrt2}{2}+\underbrace{\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{cost}dt}_{②}$$
②の計算をする
$$\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{cost}dt$$
分母分子 \(cost\) 倍して
$$=\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{cost}{cos^2t}dt$$
$$=\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{cost}{1-sin^2t}dt$$
分母を「和と差の積の因数分解」する
$$=\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{cost}{(1-sinx)(1+sint)}dt$$
部分分数分解して
$$=\frac{1}{2}\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{cost}{1-sint}+\frac{cost}{1+sint}dt$$
$$=\frac{1}{2}\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{cost}{1-sint}+\frac{cost}{1+sint}dt$$
$$=\frac{1}{2}[-\log|1-sint|+\log|1+sint|]_0^{\frac{\pi}{4}}$$
$$=\frac{1}{2}\left[\log|\frac{1+sint}{1-sint}|\right]_0^{\frac{\pi}{4}}$$
$$=\frac{1}{2}\log\frac{1+\frac{1}{\sqrt2}}{1-\frac{1}{\sqrt2}}$$
分母分子 \(\sqrt2\) 倍して
$$=\frac{1}{2}\log\frac{\sqrt2+1}{\sqrt2-1}$$
分母の有理化をして
$$=\frac{1}{2}\log(\sqrt2+1)^2$$
$$=\log(\sqrt2+1)$$
つまり①は
$$①・・・\int_0^{\frac{\pi}{4}}cost\log(cost)dt=\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}-\frac{\sqrt2}{2}+\log(\sqrt2+1)$$
したがって
$$f(\frac{\pi}{4})=\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}-\frac{\sqrt2}{2}+\underbrace{\frac{\sqrt2}{2}\log\frac{\sqrt2}{2}-\frac{\sqrt2}{2}+\log(\sqrt2+1)}_{①}$$
$$f(\frac{\pi}{4})=\sqrt2\log\frac{\sqrt2}{2}-\sqrt2+\log(\sqrt2+1)$$
よって最小値は
$$\sqrt2\log\frac{\sqrt2}{2}-\sqrt2+\log(\sqrt2+1)$$
\(\int\dfrac{1}{sinx}dx\) や \(\int\dfrac{1}{cosx}dx\) は重要項目
まとめ:積分計算(2022・東京大・理科・第1問)
積分計算(2022・東京大・理科・第1問)の解説まとめは以下の通りです。
・\(\int_a^xf(t)dt\) をxで微分すると \(f(x)\)
・増減表を書いて、最小値を確認
・\(\int\dfrac{1}{sinx}dx\) や \(\int\dfrac{1}{cosx}dx\) は重要項目
以上「積分計算(2022・東京大・理科・第1問)」の解説でした。
少しでも勉強の参考になれば幸いです。それではまた。
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