1÷0って「0」じゃないの?
0÷0なんてできるの?
こんな人のための記事です。
私わか(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
そんな私が、今回は「0で割ること」について解説します。
この記事を読むと
「1÷0が何なのか」
「0÷0が何なのか」
「0で割ってはいけない理由」
が理解できます。
そもそも割り算とは何か
割り算を確認しましょう。
割り算とは
割り算は掛け算の逆演算
です。文字式で表すと
$$a\div b=c\leftrightarrow c\times b=a$$
となります。
例えば、
$$15\div3=5\leftrightarrow5\times3=15$$
$$36\div9=4\leftrightarrow 4\times9=36$$
1÷0は?
それでは、1÷0を考えてみましょう。
よく何になるか分からないのでxとおきます。
$$1\div0=x$$
これを掛け算に直します。
$$x\times0=1$$
「0」をかけるとどんな数も「0」になるので、
xにどんな数を代入してもこの等式を成り立たせることはできません。
したがって
$$1\div0=x$$
を満たすxは存在しません。
$$1\div0$$
の答えは「存在しない」ということになります。
※「存在しない」ことと「0」を混同しないように注意しましょう。
「1を0で割ることはできない」ということです。
\(1\div0\)の答えは存在しない
1を0で割ることはできない
1以外の数を0で割る時はどうなるのか
\(1\div0\)を考えましたが、
「1」以外の数字でも同じことが言えます。
\(2\div0\)も存在しないし、
\(100\div0\)も存在しません。
しかし、
\(0\div0\)のときだけ特別です。
0÷0は?
\(0\div0\)のときを考えてみましょう。
先ほどと同様にxとおいてみましょう。
$$0\div0=x$$
これを掛け算に直します。
$$x\times0=0$$
「0」に何をかけても「0」であるので
xに何が当てはまるか考えると、
xは「1」でも「2」でも「100」でも「1000」でもどんな数でも等式は成立します。
つまり
$$0\div0$$
の答えは「全ての数」となり、「不定(値が定まらない)」となります。
\(0\div0\)の答えは「全ての数」、「不定(値が定まらない)」
「0」で割ってはいけない理由
「0」で割ってはいけない理由は
「0」で割ると、「解が存在しない」「不定(値が一つに定まらない)となる」ため「0」で割ってはいけない
となります。
そのため数学をやっていく上で
「0」で割ってはいけない
という大原則があるわけです。
文字で割るときは「0」でないことを確認する
特に文字で割り算をするときはその文字が「0」でないことに注意しなくてはなりません。
例えば
$$ab=3a$$
のとき、\(a\neq0\)を確認した上で
両辺aで割って
$$b=3$$
としなくてはなりません。
「0」で割ってよいとすると「1=2」が証明できてしまう
「0」で割ってもよいとすると、次のような証明ができてしまいます。
これは、「a=b」としてるので「両辺a-bで割る」ということは「両辺0で割る」ということになってしまう。
「0」で割った瞬間に意味のない議論になってしまっているわけです。
割り算をするときは、「0」でないことを確認しなくてはなりません。
1÷0 は ∞ なのか?
前半で解説した通り\(1\div0\)は「解がない」となります。
しかし、よく
$$1\div0$$
は「∞」と聞いたりしませんか。
それは、1を「限りなく小さな数」で割った時は「∞」となるというと捉え方です。
正確に式で表すと
$$\lim_{x\to+0}\frac{1}{x}=\infty$$
となります。
極限を考えています。
まとめ:1÷0は? 0÷0は?
「0で割った」ときの答えは以下の通りです。
・\(1\div0\)の答えは「存在しない」
・\(0\div0\)の答えは「全ての数」「不定(値が定まらない)」
・以上のように「0」で割ると答えが「存在しない」「不定(値が定まらない)」となってしまうため「0」で割ってはいけない
・\(\displaystyle{\lim_{x\to+0}\frac{1}{x}=\infty}\)
以上、「0」で割ったときの割り算の解説でした。
少しでも参考になれば幸いです。それではまた。
コメント
こんにちは。コメントさせていただきます。
背理法を用いて0除算不可能を結論していますが、仮定は0除算のみではありません。現在の数学で成り立っている計算法則も仮定されています。例えば、「割り算はかけ算の逆演算」と冒頭の部分にありますが、これも仮定の一つです。背理法による結論は割り算はかけ算の逆演算であるということと、0除算は両立しないというのが、正しい結論となります。
そもそも、0除算は現在の数学の外側にある概念なので、現在の数学の習わしに従うという考え事態に無理があります。
失礼しました。