今回は有名公式である「1/6公式」です。
面積を求める際活躍する、大変便利な公式です。
また、導出過程も学びの多い内容なので、ぜひじっくり向き合って下さい。
1/6公式の確認
$$\int_{\alpha}^{\beta}(x-\alpha)(x-\beta)dx=-\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3$$
$$(1)\int_{1}^{3}(x-1)(x-3)dx=-\frac{1}{6}(3-1)^3=-\frac{4}{3}$$
$$(2)\int_{-1}^{2}(x+1)(x-2)dx=-\frac{1}{6}(2 -(-1))^3=-\frac{9}{2}$$
1/6公式は\((x-\alpha)(x-\beta)\)の\(\alpha,\beta\)と積分区間が一致しているとき使える
展開して積分計算する必要がなく、楽ですね
1/6公式の証明
$$\int_{\alpha}^{\beta}(x-\alpha)(x-\beta)dx$$
$$=\int_{\alpha}^{\beta}(x-\alpha)(x\color{blue}{-\alpha+\alpha}-\beta)dx$$
$$=\int_{\alpha}^{\beta}(x-\alpha)^2-(\beta-\alpha)(x-\alpha)dx$$
$$=\left[\frac{1}{3}(x-\alpha)^3-\frac{1}{2}(\beta-\alpha)(x-\alpha)^2\right]_{\alpha}^{\beta}$$
$$=\frac{1}{3}(\beta-\alpha)^3-\frac{1}{2}(\beta-\alpha)^3$$
$$=-\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3$$
- \((x-\alpha)\)を主役にしています
- 積分区間の下端が\(\alpha\)であることに注目して計算量を減らしています。
展開して積分するのではなく、\((x-\alpha)\)に注目し、\((x-\alpha)\)のかたまりを作って、積分すると計算が楽になります。この方法は、ぜひ身につけておきたい技術です。
1/6公式の活用(面積を求める)
1/6公式が活躍するのは、面積を求めるときです。
面積を求める際、1/6公式が登場する場面が多く出てきます。
それではみていきましょう。
放物線とx軸で囲まれた面積
$$S=\frac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3$$
- 放物線の2次の係数は\(a\)
- 放物線とx軸の交点のx座標は\(\alpha,\beta(\alpha\lt\beta)\)
解説
放物線とx軸で囲まれた部分の面積Sは
放物線とx軸の交点が\(\alpha,\beta\)であることから
$$S=\left|\int_{\alpha}^{\beta}a(x-\alpha)(x-\beta)dx\right|$$
\(\frac{1}{6}\)公式を使って
$$S=\left|a\{-\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3\}\right|$$
$$S=\frac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3$$
放物線の2次の係数、x軸との交点が分れば、\(\frac{1}{6}\)公式を使って面積が簡単に求まる
例題
問 右図のような放物線とx軸に囲まれた部分の面積Sを求めよ。
$$S=\frac{3}{6}(3-1)^3$$
$$S=\frac{1}{2}\times8$$
$$S=4$$
放物線と直線で囲まれた面積
$$S=\frac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3$$
- 放物線の2次の係数は\(a\)
- 放物線と直線の交点のx座標は\(\alpha,\beta(\alpha\lt\beta)\)
解説
x軸との場合と同じ議論で求めることができる。
放物線と直線で囲まれた部分の面積Sは
放物線とx軸の交点が\(\alpha,\beta\)であることから
$$S=\left|\int_{\alpha}^{\beta}a(x-\alpha)(x-\beta)dx\right|$$
\(\frac{1}{6}\)公式を使って
$$S=\left|a\{-\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3\}\right|$$
$$S=\frac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3$$
放物線の2次の係数、直線との交点が分れば、\(\frac{1}{6}\)公式を使って面積が簡単に求まる
例題
問 右図のような放物線と直線に囲まれた部分の面積Sを求めよ。
$$S=\frac{1}{6}\{2-(-1)\}^3$$
$$S=\frac{1}{6}\times27$$
$$S=\frac{2}{9}$$
2つの放物線で囲まれた面積
$$S=\frac{|a_{1}-a_{2}|}{6}(\beta-\alpha)^3$$
- 2つの放物線の2次の係数はそれぞれ\(a_{1},a_{2}\)
- 2つの放物線の交点のx座標は\(\alpha,\beta(\alpha\lt\beta)\)
解説
2つの放物線で囲まれた部分の面積Sは
2つの放物線の交点が\(\alpha,\beta\)であることから
$$S=\left|\int_{\alpha}^{\beta}(a_{1}-a_{2})(x-\alpha)(x-\beta)dx\right|$$
\(\frac{1}{6}\)公式を使って
$$S=\left|(a_{1}-a_{2})\{-\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3\}\right|$$
$$S=\frac{|a_{1}-a_{2}|}{6}(\beta-\alpha)^3$$
2つの放物線の2次の係数、2つの放物線との交点が分れば、\(\frac{1}{6}\)公式を使って面積が簡単に求まる
例題
問 右図のような2つの放物線の交点に囲まれた部分の面積Sを求めよ。
$$S=\frac{1-(-1)}{6}(4-1)^3$$
$$S=\frac{2}{6}\times27$$
$$S=\frac{1}{9}$$
1/6公式まとめ
- \(\int_{\alpha}^{\beta}(x-\alpha)(x-\beta)dx\)は公式を使って簡単に求まる
- 公式を求める過程も重要(積分計算の工夫)
- 放物線が関わる面積を求める際、公式を使うことができる場合が多くあり、簡単に求めることができる(放物線とx軸、放物線と直線、放物線と放物線)
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