【King Property キングプロパティ】定積分(2005・名古屋大)【置換積分】

積分

今回は「定積分(2005・名古屋大)」の解説をします。

この記事を読むと

  • 定積分(2005・名古屋大)を「キングプロパティ」を利用して解く方法
  • 定積分(2005・名古屋大)を「部分分数分解」を利用して解く方法

について理解することができます。

この記事は「わか」が執筆しています。

私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。

問題:定積分(2005・名古屋大)

問題

$$\int_0^\pi\frac{xsin^3x}{4-cos^2x}dx$$

を求めよ。

※ 実際の入試問題では(1)に誘導があります。

(2005・名古屋大)

解説:定積分(2005・名古屋大)

前半解説:対称性を利用(King Property)

前半解説

$$I=\int_0^\pi\frac{xsin^3x}{4-cos^2x}dx$$

とおく

\(t=\pi-x\) とおく

$$dt=-dx$$

\begin{array}{c|cc} x & 0 & \rightarrow&\pi \\ \hline t & \pi & \rightarrow&0 \\ \end{array}

$$I=\int_\pi^0\frac{(\pi-t)sin^3(\pi-t)}{4-cos^2(\pi-t)}(-dt)$$

以下の変形をする

$$sin(\pi-t)=sint$$

$$cos(\pi-t)=-cost$$

$$I=\int_\pi^0\frac{(\pi-t)sin^3t}{4-cos^2t}(-dt)$$

積分区間を逆にして

$$I=\int_\color{blue}{0}^\color{blue}{\pi}\frac{(\pi-t)sin^3t}{4-cos^2t}\color{blue}{dt}$$

\((\pi-t)\) の部分を展開して

$$I=\int_0^\pi\frac{\pi sin^3t}{4-cos^2t}-\underbrace{\color{blue}{\int_0^\pi\frac{tsin^3t}{4-cos^2t}dt}}_{\color{blue}{I}}$$

ここで \(I\) が現れるので、置き換えて

$$I=\int_0^\pi\frac{\pi sin^3t}{4-cos^2t}-\color{blue}{I}$$

\(I\) を移項して

$$2I=\int_0^\pi\frac{\pi sin^3t}{4-cos^2t}$$

$$I=\frac{\pi}{2}\int_0^\pi\frac{ sin^3t}{4-cos^2t}dt$$

中盤解説:置換

中盤解説

$$I=\frac{\pi}{2}\int_0^\pi\frac{ sin^3t}{4-cos^2t}dt$$

\(c=cost\) とおく

$$dc=-sintdt$$

\begin{array}{c|cc} t & 0 & \rightarrow&\pi \\ \hline c & 1 & \rightarrow&-1 \\ \end{array}

置換できるように変形する

$$I=\frac{\pi}{2}\int_0^\pi\frac{ sin^2t}{4-cos^2t}sintdt$$

$$I=\frac{\pi}{2}\int_0^\pi\frac{ 1-cos^2t}{4-cos^2t}sintdt$$

ここで置換する

$$I=\frac{\pi}{2}\int_1^{-1}\frac{1-c^2}{4-c^2}(-dc)$$

積分区間を逆にして

$$I=\frac{\pi}{2}\int_{\color{blue}{-1}}^{\color{blue}{1}}\underbrace{\frac{1-c^2}{4-c^2}}_{偶関数}\color{blue}{dc}$$

偶関数の性質を利用して

$$I=\color{blue}{\pi}\int_{\color{blue}{0}}^{1}\frac{1-c^2}{4-c^2}dc$$

分子の字数を下げる

$$I=\pi\int_{0}^{1}\frac{(4-c^2)-3}{4-c^2}dc$$

$$I=\pi\int_{0}^{1}1+\frac{-3}{4-c^2}dc$$

$$I=\pi\left[ c\right]_0^1-3\pi\int_{0}^{1}\frac{1}{4-c^2}dc$$

$$I=\pi-3\pi\int_{0}^{1}\frac{1}{4-c^2}dc$$

後半解説:部分分数分解

後半解説

$$I=\pi-3\pi\underbrace{\int_{0}^{1}\frac{1}{4-c^2}dc}_{Jとする}$$

Jの計算をする

$$J=\int_{0}^{1}\frac{1}{4-c^2}dc$$

$$J=\int_{0}^{1}\frac{1}{(2-c)(2+c)}dc$$

部分分数分解する

$$J=\frac{1}{4}\int_{0}^{1}\frac{1}{2-c}+\frac{1}{2+c}dc$$

$$J=\frac{1}{4}\left[-\log|2-c|+\log|2+c|\right]_0^1$$

$$J=\frac{1}{4}\left[\log|\frac{2+c}{2-c}|\right]_0^1$$

$$J=\frac{1}{4}\log3$$

したがって

$$I=\pi-3\pi(\frac{1}{4}\log3)$$

$$I=\pi-\frac{3\pi}{4}\log3$$

補足:キングプロパティ参考記事

キングプロパティの解説は以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ:定積分(2005・名古屋大)

定積分(2005・名古屋大)の解説まとめは以下の通りです。

  • 定積分(2005・名古屋大)は「キングプロパティを用いた積分」「置換積分」「部分分数分解」を利用して、解くことができる
  • キングプロパティを利用した積分は、体験しておくことが大切

定積分(2005・名古屋大)の解説は以上で終わります。

少しでも勉強の参考になれば幸いです。それではまた。




【AREDZ】

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