京都大学の積分問題です。三角関数の積分の典型的な問題なので、確認しましょう。
京大の積分問題と聞くと、難しそう、、、と思いますよね。しかし、今回は、基本事項を抑えていれば解ける問題です。難関大学の中には確かに難問が出題される場合がありますが、全てが難問というわけではありません。着実に取り組めば解答出来る問題も多く出題されます。そんな問題を紹介できたらと思います。
問題
問 次の定積分の値を求めよ。
$$(1) \int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{x}{cos^2x}dx$$
$$(2)\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{dx}{cosx}$$
解説
(1)部分積分利用
以下の基本事項を抑えた上で、部分積分を利用し解いていきます。
\(tanx\)の微分は\(\frac{1}{cos^2x}\)なので
$$\int \frac{1}{cos^2x}dx=tanx+C$$
\(tanx\)の積分は\(tanx=\frac{sinx}{cosx}\)を使って
$$\int\frac{sinx}{cosx}dx=-\log{(cosx)}+C$$
$$\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{x}{cos^2x}dx$$
xを微分する側、\(\frac{1}{cos^2x}\)を積分する側に狙いを定めます。
$$=\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}x\frac{1}{cos^2x}dx$$
部分積分を実行して
$$=\left[xtanx\right]_{0}^{\frac{\pi}{4}}-\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}tanxdx$$
\(tanx=\frac{sinx}{cosx}\)を使って
$$=\frac{\pi}{4}-\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{sinx}{cosx}dx$$
$$=\frac{\pi}{4}+\left[\log{(cosx)}\right]_{0}^{\frac{\pi}{4}}$$
$$=\frac{\pi}{4}+\log\frac{1}{\sqrt2}$$
式を整理すると
$$=\frac{\pi}{4}-2\log2$$
(多項式)×sinや(多項式)×cosは部分積分を利用するのが定石です。
(2)部分分数分解利用
$$\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{cosx}dx$$
分母分子cosx倍して
$$=\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{cosx}{cos^2x}dx$$
$$=\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{cosx}{1-sin^2x}dx$$
ここで部分分数分解
$$=\frac{1}{2}\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{cosx}{1-sinx}+\frac{cosx}{1+sinx}dx$$
分子にcosxがあるので、上手くlogを使って積分できます。
$$=\frac{1}{2}\left[-\log(1-sinx)+\log(1+sinx)\right]_{0}^{\frac{\pi}{4}}$$
$$=\frac{1}{2}\left[\log\frac{(1+sinx)}{(1-sinx)}\right]_{0}^{\frac{\pi}{4}}$$
$$=\frac{1}{2}\log\frac{(1+\frac{1}{\sqrt2})}{(1-\frac{1}{\sqrt2})}$$
式を整理して
$$=\frac{1}{2}\log\frac{(\sqrt2+1)}{(\sqrt2-1)}$$
$$=\frac{1}{2}\log{(\sqrt2+1)^2}$$
$$=\log{(\sqrt2+1)}$$
この問題は、以前紹介した\(\frac{1}{cosx}\)と同じ方法で解いています。
頻出問題ですので、確認しておきましょう。
まとめ
- 積分の基本事項は覚える(tanxの積分、tanxの微分、部分分数分解のやり方など)
- (多項式)×sin、(多項式)×cosは部分積分をするのが定石
- \(\frac{1}{sinx}\)と\(\frac{1}{cosx}\)の積分は部分分数分解を利用(流れも含め暗記)
難しそうな大学の問題も解いてみると、基本の積み重ねだとわかると思います。少しずつ着実に楽しみながら、問題を解いていけるとよいと思います。
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