今回は、「因数分解(2022・慶應大)」の解説をします。
この記事を読むと
- 「因数分解(2022・慶応大)」の3通りの解法
- 因数定理を使った因数分解
- 複2次式の因数分解
- 相反方程式の因数分解
などについて理解することができます。
この記事は「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題:因数分解(2022・慶応大)
整式 \(x^5+x^4+x^3+x^2+x+1\) を因数分解せよ。
(2022・慶応大学・医・改題)
解説:因数分解(2022・慶応大)
慶応の小問集合の中の1題です。
3通りの解き方を紹介します。
解法1:「くくり出し」から「複2次式」
$$x^5+x^4+x^3+x^2+x+1$$
$$=x^4(x+1)+x^2(x+1)+x+1$$
$$=(x+1)(\underbrace{x^4+x^2+1}_{複2次式})$$
複2次式は「\(○^2-△^2\)」の形を作る
$$=(x+1)\{(x^2+1)^2-x^2\}$$
「\(○^2-△^2\)」は「和と差の積」で因数分解
$$=(x+1)\{(x^2+1)+x\}\{(x^2+1)-x\}$$
$$=(x+1)(x^2+x+1)(x^2-x+1)$$
解法2:「因数定理」から「相反方程式」
$$f(x)=x^5+x^4+x^3+x^2+x+1$$
とおく
因数定理
\(f(a)=0\)のとき、\(f(x)\) は \((x-a)\) を因数にもつ
\(f(-1)=0\) より
因数定理から \(f(x)\) は \(x+1\) を因数にもつ
組立除法を用いて
\begin{array}{c|cc} & 1&1&1&1&1&1 \\ -1 &&-1&0&-1&0&-1 \\ \hline &\color{blue}{1}&\color{blue}{0}&\color{blue}{1}&\color{blue}{0}&\color{blue}{1}&\color{red}{0}\\ \end{array}
$$f(x)=(x+1)(\underbrace{x^4+x^2+1}_{相反方程式})$$
\(x\neq0\)として、\(x^2\) でくくる
$$f(x)=(x+1)x^2(x^2+1+\frac{1}{x^2})$$
「\(○^2-△^2\)」の形を作る
$$f(x)=(x+1)x^2\{(x+\frac{1}{x})^2-2+1\}$$
$$f(x)=(x+1)x^2\{(x+\frac{1}{x})^2-1\}$$
「\(○^2-△^2\)」は「和と差の積」で因数分解
$$f(x)=(x+1)x^2\{(x+\frac{1}{x})+1\}\{(x+\frac{1}{x})-1\}$$
$$f(x)=(x+1)x^2(x+\frac{1}{x}+1)(x+\frac{1}{x}-1)$$
\(x^2\) を分配して
$$f(x)=(x+1)(x^2+1+x)(x^2+1-x)$$
これは \(x=0\) のときも成り立つ
補足
因数定理に関しては以下の記事を参考にしてください。
高次方程式の解き方は以下の記事を参考にしてください。
解法3:両辺 (x-1) 倍
$$A=x^5+x^4+x^3+x^2+x+1$$
とおく
両辺 \((x-1)\) 倍する
$$(x-1)A=(x-1)(x^5+x^4+x^3+x^2+x+1)$$
$$(x-1)A=x^6-1$$
「\(○^2-△^2\)」は「和と差の積」で因数分解
$$(x-1)A=(x^3+1)(x^3-1)$$
3乗の公式を利用して因数分解
\(a^3+b^3=(a+b)(a^2+ab+b^2)\)
$$(x-1)A=(x+1)(x^2-x+1)(x-1)(x^2+x+1)$$
\(x\neq1\)として、両辺 \((x-1)\) で割って
$$A=(x+1)(x^2-x+1)(x^2+x+1)$$
これは \(x=1\) のときも成り立つ
まとめ:因数分解(2022・慶応大)
「因数分解(2022・慶應大)」の解説まとめは以下の通りです。
- 因数分解(2022・慶應大)の解法1→「くくり出し」「複2次式を変形し、2乗引く2乗の形に」「和と差の積」で因数分解
- 因数分解(2022・慶應大)の解法2→「解を1つ見つける」「因数定理」「相反方程式」「2乗引く2乗を作る」「和と差の積」で因数分解
- 因数分解(2022・慶應大)の解法3→「両辺にx-1をかける」「和と差の積」「3乗の公式」で因数分解
「因数分解(2022・慶應大)」の解説は以上で終わります。
少しでも勉強の参考になれば幸いです。それではまた。
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