【東大】円周率が3.05より大きいことを示せ【伝説の入試問題】

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数学の入試問題の中でも1、2を争う有名な問題です。

いきなり「円周率が3.05より大きいことを示せ」と言われても、、、という感じですね。

今日は、2003年の東京大学で出題された数学の入試問問題です。内容としては、高校1、2年生でも十分に理解できる内容なので、ぜひみていって下さい。

東大の伝説の入試問題「加法定理を証明せよ。」に関しては、この記事をご覧ください。

円周率とは

円周率の定義を確認しましょう。

円周率の定義

円周率の定義
  1. 円の直径に対する円周の長さの比率
  2. 円の円周の長さを直径で割った値(円周の長さ÷直径)
  3. 直径1の円の円周の長さ

以上の定義は全て同じことを言っています。

円の直径に対する円周の長さは、決まっていて、その比率のことを円周率と言います。

円周率で知っておくべき知識

円周率には知っておくべきことが何個かあります。

円周率
  1. 円周率は記号\(\pi\)を使って表される
  2. 円周率は無理数である
  3. 円周率は\(3.1415\cdots\)という無限に続く小数の値をとる。

円周率に関しては、他にも様々なことがわかっています。

さて、今回の題材は、3の円周率の値に関する問題です。

伝説の入試問題

問題

問題

円周率が3.05より大きいことを証明せよ。(東京大・2003)

どこが伝説なの?

問題文の短さ

まず簡潔に書かれた問題文の短さです。入試問題は、設定を伝えるために長文になりがちですが、この短さは入試問題には、珍しいです。問題文の意味も、小学生で習う言葉のみで構成されていて大変簡潔です。難関大の入試問題がここまで短く簡潔な内容であるということに驚きますね。問題文の短さで言えば、京都大学で出題された、「\(tan1°\)は有理数か。」も有名です。数学の問題は短ければ短いほど難問であるという感覚を持っている人も多いでしょう。

円周率というテーマ

東京大学の入試問題は、非常に練られた問題構成となっていて、難易度調整も含めて良問が多いと言われます。そのため、大学入試全体に与える影響、高校の教育に与える影響は大きいと思います。そこで当時議論となっていた「円周率」(「円周率は3でいいのでは」問題)に対するメッセージが含まれているのではと話題になりました。

定義を問うことで思考力を問われる

受験数学対策は、解法暗記やパターン演習にのみに偏ってしまいがちですが、定義の理解やその証明などきちんと学習していく姿勢の大切さを再認識させてくれる問題です。疑問があれば、それに向き合いじっくりと理解を深めることも大切です。公式をなんとなく使うと、なんとなく解けてしまったというのでは、いけないなと思わせてくれる問題ですね。大学入試では、たびたび公式の証明も出題されます。東京大学では、加法定理の証明が出題されたことが有名です。

問題解説

さて、それでは問題を解説していきましょう。何から手をつけるかが大切です。

証明の方針

円周率が3.05より大きいことを示すので、円と何かを比較してみようと考えます。

右の図のように半径1の円とそれに内接する正六角形を考えます。

すると(円周の長さ)>(正六角形の周の長さ)

が分かります。円長さは\(2\pi \)、正六角形の周の長さは6なので、

$$2\pi >6\Leftrightarrow\pi >3$$

円周率πは3より大きいことはわかりました。しかし、3.05より大きいことを示さなければなりません。したがって、正六角形ではなく、もっと周の長さの大きい正多角形を考えようとします。さらに、対角線で区切ったときの中心の角度が有名角であった方が計算がしやすいです。

以上を踏まえて、正八角形、正十二角形などを考えるという流れになります。

今回は正八角形を利用した証明を紹介します。

証明(円周率が3.05より大きい)

証明

半径1の円と、それに内接する正八角形を考えます。

円周の長さは、\(2\pi\)

三角形の中心角は45°なので、

余弦定理より、\(AB^2=1+1-2\times 1\times 1\times cos45°\) ※1

\(AB^2=2-\sqrt2\)

\(AB=\sqrt{2-\sqrt2}\)

よって正八角形の周の長さは、\(8\sqrt{2-\sqrt2}\)

(円周の長さ)>(正八角形の周の長さ)なので

\(2\pi>8\sqrt{2-\sqrt2}\)

\(\pi>4\sqrt{2-\sqrt2}\)である。

よって、\(4\sqrt{2-\sqrt2}>3.05\)を示せればよい。式変形して

\(\Leftrightarrow2-\sqrt2>\frac{3.05^2}{4^2}\)

\(\Leftrightarrow \sqrt2<2-\displaystyle{\frac{3.05^2}{16}}\)を示せればよい。

\(\sqrt2=1.414\cdots\)、\(2-\frac{3.05^2}{16}=1.418\cdots\)より ※2

$$\sqrt2<2-\frac{3.05^2}{16}$$ 

したがって

$$\pi>4\sqrt{2-\sqrt2}>3.05$$

以上で、円周率πが3.05より大きいことが示されました。

※1 補足(余弦定理の確認)

余弦定理に関しては、記事を参考にして下さい。

※2 補足(数値の計算) 

この計算が大変なところです。踏ん張りどころです。

その他の証明方法

今回紹介したもの以外にも多くの証明方法が考えられます。

  1. 円に内接する正十二角形を考えて、周の長さを比較する
  2. 円に内接する正二十四角形を考えて、面積を比較する
  3. \(\displaystyle{\frac{1}{x^2+1}}\)の積分を利用する

まとめ

  1. 円周率の定義は、「円の直径に対する円周の長さの比率」
  2. 円に内接する正多角形を利用して、円周率の値を考えることができる。

以上、伝説の入試問題「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」の解説でした。

解説を聞けば、理解できる内容だと思います。ただし、初見でできるか、試験会場で解けるかは別の問題ですね。

この記事が皆さんの役に立てば幸いです。

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