微分について、解説後編です。
前半をまだ読んでいない方はこちらの記事を参考にしてください。
後半では、「定義に従った計算」「xの多項式の微分」について解説していきたいと思います。
それではいきましょう。
導関数の定義
「微分する」とは導関数を求めることでしたね。
それでは、導関数の定義から復習します。
例題(導関数の定義に従って微分)
$$y=x^2$$を導関数の定義に従って微分せよ。
$$y’=\lim_{h\to0}\frac{(x+h)^2-x^2}{h}$$
$$=\lim_{h\to0}\frac{x^2+2xh+h^2-x^2}{h}$$
$$=\lim_{h\to0}\frac{2xh+h^2}{h}$$
$$=\lim_{h\to0}(2x+h)$$
$$=2x$$
\(x^2\)を微分すると、\(2x\)
続いて、もう一つ例題を見てみましょう。
$$y=\sqrt x$$
を導関数の定義に従って、微分せよ。\(\require{cancel}\)
$$y’=\lim_{h\to0}\frac{\sqrt{x+h}-\sqrt x}{h}$$
分母、分子に\(\sqrt{x+h}+\sqrt x\)をかける
$$=\lim_{h\to0}\frac{(\sqrt{x+h}-\sqrt x)(\sqrt{x+h}+\sqrt x)}{h(\sqrt{x+h}+\sqrt x)}$$
$$=\lim_{h\to0}\frac{x+h- x}{h(\sqrt{x+h}+\sqrt x)}$$
$$=\lim_{h\to0}\frac{\cancel{h}}{\cancel{h}(\sqrt{x+h}+\sqrt x)}$$
$$=\lim_{h\to0}\frac{1}{(\sqrt{x+h}+\sqrt x)}$$
$$=\frac{1}{2\sqrt{x}}$$
\(\sqrt{x}\)を微分すると、\(\displaystyle{\frac{1}{2\sqrt x}}\)
他にも、sinxの導関数の定義に従った微分は、以下の記事で取り扱っています。
x^nの微分
微分の定義に従って極限の計算をすれば、微分する(導関数を求める)ことができます。
しかし、毎回毎回定義に従って微分をするのは大変です。
そこで、基本的な導関数を知ることで、素早く計算することができます。
\(x^{\color{blue}{5}}\)を微分すると、\(\color{blue}{5}x^4\)
\(x^{\color{blue}{8}}\)を微分すると、\(\color{blue}{8}x^7\)
指数の数字を前に下ろして、指数を1減らせばいいわけです。
また、定数を微分すると、すべて「0」です。
証明も確認してみましょう。
1の証明
\(y=x^n\)において
$$y’=\lim_{h\to0}\frac{(x+h)^n-x^n}{h}$$
2項定理より
$$y’=\lim_{h\to0}\frac{\cancel{x^n}+_nC_{1}x^{n-1}h+_nC_2x^{n-2}h^2+\cdots+_nC_nh^n\cancel{-x^n}}{h}$$
計算して、hをくくりだす
$$y’=\lim_{h\to0}\frac{h(nx^{n-1}+_nC_2x^{n-2}h+\cdots+h^{n-1})}{h}$$
約分して、極限をとると
$$y’=\lim_{h\to0}\frac{\cancel{h}(nx^{n-1}+_nC_2x^{n-2}h+\cdots+h^{n-1})}{\cancel{h}}$$
$$y’=nx^{n-1}$$
(証明終)
2の証明
\(y=C\)において
$$y’=\lim_{h\to0}\frac{C-C}{h}$$
$$y’=\lim_{h\to0}\frac{0}{h}$$
$$y’=0$$
(証明終)
\(x^n\)の微分、定数関数の微分は基本ですのできちんと身につけましょう。
また、導関数の以下の性質もあります。
1、2、3の性質を簡単に言うと、
係数ついていてもそのまま微分できる
和の微分は、それぞれ微分してそのまま足せば良い
ということです。
これも全て定義から導くことができます。今回は、省略します。
この導関数の性質を使えば、xの多項式の微分をすることができます。
例題を見ていきましょう。
$$y=4x^3+5x^2$$
$$y’=4\times3x^2+5\times2x^1$$
$$y’=12x^2+10x$$
$$y=-3x^2-5x+6$$
$$y’=-3\times2x^1-5\times1x^0+0$$
$$y’=-6x-5$$
多項式の微分、定義から求めなくても計算できました。
今回は、ここまでとします。
まとめ
・導関数の定義に従って、極限の計算をして、微分をすることができる
・\((x^n)’=nx^{n-1}\)、「定数」の微分は「0」
・導関数の性質を使えば、xの多項式の微分がすぐにできる。
以上、微分についての解説(後半)でした。
微分に関しては、基本的な性質、基本的な関数の導関数など様々な重要事項があります。
また、記事にまとめたいと思います!
少しでも勉強の参考になれば幸いです。
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