前回に引き続き、「三角関数について」学んでいきましょう。
「三角関数」について後編です。前編をまだ未定な人は、こちらをご確認ください。
さあ、「三角関数」後編いってみましょう。
三角関数の拡張
今回は、三角関数の角度を拡張した定義を紹介します。
何言ってるの?
という感じだと思いますが、以下を見ていきましょう。
直角三角形の定義は0°から90°まで
三角関数の直角三角形を使った定義では、
\(\theta\)は、0°から90°までしか値を取りません。
\(\theta\)が90°を超えると、直角三角形は成り立ちませんし、0°より小さいマイナスの値でもおかしなことになってしまいますね。
頭のいい人が、「この角度が90°を超えた場合や、マイナスになった場合も考えられるように、定義を変えてみよう。」と考えたわけです。
数学は拡張していく学問
なんでそんなことするの、、、
と思いますよね。しかし、数学は、このように拡張していく学問なんです。
小学校では、「1、2、3、・・・」などの自然数から、「0.2や\(\frac{1}{3}\)」などの小数や分数を考えましたね。中学校では負の数を習いました。
拡張していくことによって、便利なことがたくさんあるんです。ということで三角関数を定義し直します。
三角関数の定義(単位円を利用した定義)
半径rの円にのせて考える
右の図のような、半径r の円と円上の点を考えて、
$$sin\theta=\frac{y}{r}$$
$$cos\theta=\frac{x}{r}$$
$$tan\theta=\frac{y}{x}$$
とすると、今までと同じようにsin、cos、tanの値を考えることができます。
ここで注目するのは、θをぐるっと回して、90°よりも大きい場合の値も分かることです。
単位円に乗せて考える
より話をシンプルにするために、半径1の円(単位円)で考えてしまいます。
単位円(半径1の円)を考えて、(r=1を代入)
$$sin\theta=y$$
$$cos\theta=x$$
$$tan\theta=\frac{y}{x}$$
これが、単位円を利用した、三角関数の定義です。
三角関数の定義(単位円を利用した場合)
単位円(半径1の円)に対して
$$sin\theta=y$$
$$cos\theta=x$$
$$tan\theta=\frac{y}{x}$$
大切なことは、このように定義しても、直角三角形で定義したsin、cos、tanと一致します。確認してみましょう。
角度が60°のときの直角三角形の定義と単位円の定義の比較
$$sin60°=\frac{\sqrt3}{2}$$
$$cos60°=\frac{1}{2}$$
$$tan60°=\sqrt3$$
$$sin60°=\frac{\sqrt3}{2}$$
$$cos60°=\frac{1}{2}$$
$$tan60°=\sqrt3$$
どちらの定義でも、同じ結果になりましたね。
角度が120°、−30°のときの三角関数の値
この単位円での定義の醍醐味である、90°よりも大きいやマイナスになる場合の例を見てみましょう。
$$sin120°=\frac{\sqrt3}{2}$$
$$cos120°=-\frac{1}{2}$$
$$tan120°=-\sqrt3$$
$$sin(-30°)=-\frac{1}{2}$$
$$cos(-30°)=\frac{\sqrt3}{2}$$
$$tan(-30°)=-\frac{1}{\sqrt3}$$
ここまでで、三角関数の角度の拡張は終わりです。
三角関数の相互関係
sin、cos、tanのそれぞれの関係性を確認していきましょう。
- \(\displaystyle{\tan\theta=\frac{sin\theta}{cos\theta}}\)
- \(sin^2\theta+cos^2\theta=1\)
- \(\displaystyle{tan^2\theta+1=\frac{1}{cos^2\theta}}\)
$$tan\theta=\frac{sin\theta}{cos\theta}$$
これは定義を思い出せば、わかります。
$$sin\theta=y$$
$$cos\theta=x$$
$$tan\theta=\frac{y}{x}$$
だから、$$tan\theta=\frac{y}{x}=\frac{sina\theta}{cos\theta}$$
$$sin^2\theta+cos^2\theta=1$$
これは、円の方程式を考えます。
単位円の方程式は\(x^2+y^2=1\)です。
定義から
$$sin\theta=y$$
$$cos\theta=x$$
なので、それぞれ代入すると、
$$sin^2\theta+cos^2\theta=1$$
$$tan^2\theta+1=\frac{1}{cos^2\theta}$$
これは、2の相互関係を使えばすぐに求めることができます。
$$sin^2\theta+cos^2\theta=1$$
両辺\(cos^2\theta\)で割ると
$$\frac{sin^2\theta}{cos^2\theta}+1=\frac{1}{cos^2\theta}$$
1の相互関係から
$$tan^2\theta+1=\frac{1}{cos^2\theta}$$
この相互関係を使えば、1つの三角関数を使えば、その他の三角関数を求めることができます。
まとめ
- 三角関数を単位円を利用して定義
- 単位円による定義によって、角度が90°以上やマイナスの場合などでも定義される
- 三角関数の相互関係を利用することによって、それぞれからそれぞれを求めることができる
今回は以上です。三角関数の、混乱しやすい「単位円での定義」を解説しました。理解が深まれば嬉しく思います。三角関数はその他にも大切な事項があります。それはまたの機会に説明します。
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