
虚数が係数にあるけど、どうやって解けばいいの、、、?
虚数の係数でも解の公式って使えるのかな、、、?
という人のための記事です。
今回は「虚数係数の2次方程式の解」について解説します。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。

私が丁寧に解説していきます。
この記事を読むと
「虚数係数の2次方程式の解き方」「解と係数の解法」「解の公式は使えるのか」
が理解できます。
解説(実数解をαとおく)
2次方程式
$$x^2+(1-i)x+(-2+i)=0$$
の実数解を求めよ。
基本的には、2次方程式の「解の公式」は有理数係数のときに使います。
そのため今回の問題は、解の公式ではなく別の方法で解きます。
実数解を持つ → 実数解をαとおく
を使って解いていきましょう。
実数解をαとおく
$$\alpha^2+(1-i)\alpha+(-2+i)=0$$
$$\alpha^2+\alpha-2+(1-\alpha)i=0$$
よって
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \alpha^2+\alpha-2=0\leftrightarrow(\alpha+2)(\alpha-1)=0\leftrightarrow\alpha=-2,1 \\ \alpha=1 \end{array} \right. \end{eqnarray}
よって
$$\alpha=1$$
解説(解と係数の関係)
2次方程式
$$x^2+(1-i)x+(-2+i)=0$$
の実数解と虚数解を求めよ。
2次方程式を考える上で、「解と係数の関係」はとても重要です。
「解と係数の関係」を使って解きます。
解と係数の関係
$$ax^2+bx+c=0$$
の解を \(\alpha,\beta\) とすると
$$\alpha+\beta=-\dfrac{b}{a} , \alpha\beta=\frac{c}{a}$$
実数解を \(\alpha\) , 虚数解を \(\beta\) とする
解と係数の関係より
$$\alpha+\beta=-1+i , \alpha\beta=-2+i$$
\(\alpha\)が実数であることに注意して
$$\beta=-1-\alpha+i , \beta=-\frac{2}{\alpha}+\frac{1}{\alpha}i$$
係数比較して
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} -1-\alpha=-\dfrac{2}{\alpha}\\ \dfrac{1}{\alpha}=1 \end{array} \right. \end{eqnarray}
よって
$$\alpha=1 , \beta=-2+i$$
解説(解の公式)
2次方程式
$$x^2+(1-i)x+(-2+i)=0$$
の解を求めよ。
最後に、「虚数係数」のとき「解の公式」を使って解いていきたいと思います。
解の公式
$$ax^2+bx+c=0$$
の解は
$$x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$
$$x^2+(1-i)x+(-2+i)=0$$
解の公式より
$$x=\frac{-1+i\pm\sqrt{(1-i)^2-4(-2+i)}}{2}$$
$$x=\frac{-1+i\pm\sqrt{8-6i}}{2}$$
ここからルートを外していきます
$$x=\frac{-1+i\pm\sqrt{2}(4-3i)^{\frac{1}{2}}}{2}$$
$$x=\frac{-1+i\pm\sqrt{2}\{5(\frac{4}{5}-\frac{3}{5}i)\}^{\frac{1}{2}}}{2}$$
\(cos\theta=\frac{4}{5} , sin\theta=\frac{3}{5} (0°<\theta<90°)\) とおいて
$$x=\frac{-1+i\pm\sqrt{10}(cos\theta-isin\theta)^{\frac{1}{2}}}{2}$$
ドモアブルの定理より
$$x=\frac{-1+i\pm\sqrt{10}(cos\frac{\theta}{2}-isin\frac{\theta}{2})}{2}$$
半角の公式より
$$sin\frac{\theta}{2}=\sqrt{\frac{1-cos\theta}{2}}=\sqrt{\frac{1-\frac{4}{5}}{2}}=\frac{1}{\sqrt{10}}$$
$$cos\frac{\theta}{2}=\sqrt{\frac{1+cos\theta}{2}}=\sqrt{\frac{1+\frac{4}{5}}{2}}=\frac{3}{\sqrt{10}}$$
$$x=\frac{-1+i\pm\sqrt{10}(\frac{3}{\sqrt{10}}-\frac{1}{\sqrt{10}}i)}{2}$$
$$x=\frac{-1+i\pm(3-i)}{2}$$
$$x=1 , x=-2+i$$
「虚数係数」でも「解の公式」は使えることがわかりました。

計算はかなり大変です、、、。
まとめ:虚数係数の2次方程式
今回のまとめは以下の通りです。
・実数解をαとおいて、係数を比較して解く
・解と係数の関係を使って、係数を比較して解く
・解の公式を使う
以上で解説を終わります。
少しでも参考になれば幸いです。それではまた。
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