【整数】m^3+1=n^3+10^3 を満たす2以上の整数(m,n)を求めよ(2009・一橋大学)【タクシー数(ラマヌジャン)】

整数

今回は、一橋大学の整数問題です。

「整数問題」は3つの解法のアプローチを使うことで、整数解の候補をしぼり、答えを導くことができます。

わか
わか

大切な3つのアプローチは以下の通りです。

整数問題の3つのアプローチ

① 因数分解して絞り込む

② 不等式で絞り込む

③ 倍数、あまりで分類して絞り込む

今回の一橋大学の問題は、3つのアプローチをフル活用して解くことができるので、よい練習問題になると思います。

似ている問題で京都大学の過去問を解説しているので、こちらも参考にしてください。

それではいきましょう。

問題

問題

2以上の整数m,nは

$$m^3+1=n^3+10^3$$

を満たす、整数m,nを求めよ       (2009・一橋大学)

解説

それでは、解説していきます。

解説

因数分解して \(( A )\times( B )=定数\) の形を作り、候補を絞り込みます。

$$m^3+1=n^3+10^3$$

$$m^3-n^3=999$$

$$(m-n)(m^2+mn+n^2)=3^3\times37$$

\begin{array}{|c|c|c|} \hline m-n&m^2+mn+n^2 \\ \hline 1 & 999\\ \hline 3 & 333\\ \hline 9 & 111\\ \hline 27 & 37\\ \hline 37 & 27\\ \hline 111 & 9\\ \hline 333 & 3\\ \hline 999 & 1\\ \hline -1 & -999\\ \hline -3 & -3333\\ \hline -9 & -111\\ \hline -27 & -37\\ \hline -37 & -27\\ \hline -111 & -9\\ \hline -333 & -3\\ \hline -999 & -1\\ \hline \end{array}

以上の16パターン。

さらに候補を絞り込んでいきます。

不等式を利用して、候補を絞り込む

m≥2,n≥2より

\(m^2+mn+n^2≥12\)より

\begin{array}{|c|c|c|} \hline m-n&m^2+mn+n^2 \\ \hline 1 & 999\\ \hline 3 & 333\\ \hline 9 & 111\\ \hline 27 & 37\\ \hline 37 & 27\\ \hline \end{array}

以上の5パターン

不等式を利用して、さらに候補を絞り込む

$$(m^2+mn+n^2)-(m-n)^2=3mn>0$$

\((m^2+mn+n^2)\) が \((m-n)^2\) より大きいを満たす候補を考えると

\begin{array}{|c|c|c|} \hline m-n&m^2+mn+n^2 \\ \hline 1 & 999\\ \hline 3 & 333\\ \hline 9 & 111\\ \hline \end{array}

以上の3通り

さらに

倍数で分類して、候補をしぼる

\((m^2+mn+n^2)-(m-n)^2=3mn\)より

\((m^2+mn+n^2)-(m-n)^2\)が3の倍数となっている候補に絞る

\begin{array}{|c|c|c|} \hline m-n&m^2+mn+n^2&(m-n)^2&(m^2+mn+n^2)-(m-n)^2 \\\hline 1&999&1&998(×3の倍数でない)\\\hline 3&333&9&324(○3の倍数)\\\hline9&111&81&30(○3の倍数)\\\hline \end{array}

よって以下の2パターン

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} m-n =3 \\ m^2+mn+n^2 = 333 \end{array} \right.\end{eqnarray}

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} m-n =9 \\ m^2+mn+n^2 = 111 \end{array} \right.\end{eqnarray}

これを解くと

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} m =12 \\ n=9 \end{array} \right.\end{eqnarray}

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} m =10 \\ n=1 \end{array} \right.\end{eqnarray}

n≥2より

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} m =12 \\ n=9 \end{array} \right.\end{eqnarray}

整数問題の3パターンのアプローチをフル活用して、絞り込んでいくことができましたね。

タクシー数(ラマヌジャン)

今回の問題は「タクシー数」が題材となっています。

$$m^3+1=n^3+10^3$$

に、答えの

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} m =12 \\ n=9 \end{array} \right.\end{eqnarray}

を代入した値

$$12^3+1^3=9^3+10^3=1729$$

1729」のことをタクシー数と言います。

タクシー数

タクシー数とは、2つの立方数の和として n 通りに表される最小の整数のことである。

今回は、 1729 が \(12^3+1\) と \(9^3+10^3\) の2つの立方数の和で表されていることがわかります。

2つの立方数の和であらわされる自然数は 1729 未満には存在しないので、タクシー数ということができます。

タクシー数の由来:ラマヌジャンが指摘した「1729」

「タクシー数」の由来は、天才数学者「ラマヌジャン」が何気ないと思われたタクシーのナンバー「1729」を「2つの立方数の和で表される数」であることを瞬時に指摘したためと言われています。

クイズノック(ふくらP)の好きな数

タクシー数はクイズノックの「ふくらさん」の好きな数字としてyoutubeで解説されています。

とてもわかりやすい解説ですので、ぜひご覧ください。

まとめ

今回のまとめは以下の通りです

・整数問題の3つのアプローチを理解する

整数問題の3つのアプローチ

① 因数分解して絞り込む

② 不等式で絞り込む

③ 倍数、あまりで分類して絞り込む

・今回の問題の背景知識は「ラマヌジャンのタクシー数」

以上「整数問題(2009・一橋大学)」の解説でした。

少しでも参考になれば幸いです。それではまた。

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