整数問題ってどうやって解いたらいいかわからない、、、。
この過去問も難しい、、、。
という方のために記事です。
今回は、「整数問題(2018・東北大学)」について解説します。
この記事を読むと
- \(3^a-2^b=1\)の整数解とその解法
- 整数問題のアプローチ方法
- 問題のテーマ(カタラン予想)
について理解することができます。
この記事は、「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題:整数問題(2018・東北大)
整数 \(a , b\) は、\(3^a-2^b=1\) ・・・① を満たしているとする。
(1)\(a , b\) はともに正であることを示せ。
(2)\(b>1\) ならば、\(a\) は偶数であることを示せ。
(3)①を満たす整数の組 \(( a , b )\) をすべてあげよ。
(2018・東北大)
(3)をいきなり求めるのは、難しいです。
今回は、丁寧な誘導がついていますので誘導に乗って整数解を求めていきましょう。
解説:整数問題(2018・東北大)
(1)解答
まず \(a,b\) がともに正の整数であることを示します。
不等式を利用します。
$$3^a=2^b+1$$
と変形すると、\(2^b>0\) なので
$$3^a=2^b+1>1$$
したがって \(a≥1\)
また
$$2^b=3^a-1$$
と変形すると、\(a≥1\)なので
$$2^b=3^a-1≥2$$
したがって \(b≥1\)
\( a , b \) はともに正の整数である。
(証明終)
(2)解答
合同式(あまりに着目した等式)を使って考えていきます。
\(b>1\) のとき、\(2^b\) は4の倍数
4で割った時の余りを考えて
$$3^a-2^b= 1$$
$$(-1)^a\equiv 1\pmod4$$
これを満たすの \(a\) が偶数のとき
したがって、 \(a\) は偶数
(証明終)
合同式に関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
とても便利な考え方なので、ぜひご一読を。
合同式を使って、共通テスト解説しています。
(3)解答
因数分解で、候補を絞っていきます。
\(b=1\) と \(b≥2\) のときに場合分けして考える
(i) \(b=1\)のとき
$$3^a-2=1\Leftrightarrow 3^a=3\Leftrightarrow a=1$$
よって \(( a , b )=( 1 , 1 )\)
(ii) \(b≥2\)のとき
(2)より \(a=2k (k=1,2,3,\cdots)\) とおく
$$3^{2k}-2^b=1$$
$$3^{2k}-1=2^b$$
$$(3^k+1)(3^k-1)=2^b$$
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2^p=3^k+1 ・・・①\\ 2^q=3^k-1 ・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}
とおける(\(p,q\)\( (p>q) \) は自然数)
①ー②より
$$2^p-2^q=2\Leftrightarrow 2^q(2^{p-q}-1)=2$$
これを満たすのは
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2^q=2 \\ 2^{p-q}-1=1 \end{array} \right. \end{eqnarray}
よって \((p,q)=(2,1)\)
これを①に代入して \(k=1\)
よって \((a,b)=(2,3)\)
(i)(ii)より
$$(a,b)=(1,1)(2,3)$$
カタラン予想
今回の問題は、カタラン予想がテーマとなっています。
カタラン予想とは以下の通りです。
カタラン予想
$$x^a-y^b=1 ( x,a,y,b>1 )$$
を満たす自然数の組み合わせは
$$x=3,a=2,y=2,b=3$$
のみである。
今回は、\(x=3 , y=2\) の特別なときのみ考えているということです。
整数問題のアプローチ
整数問題の3つアプローチは以下の通り
- 因数分解で候補をしぼる
- 不等式で候補をしぼる
- あまりや倍数に着目して候補をしぼる
今回の問題は、全てを利用しています。
以前にも整数問題解説しています。良問ですのでぜひ試してみてください。
まとめ:整数問題(2018・東北大学)
整数問題(2018・東北大学)のまとめは以下の通り。
- \(3^a-2^b=1\) を満たす整数は \((a,b)=(1,1),(2,3)\)
- 「不等式利用」「あまりに注目」「因数分解」などを使って解くことができる
- この問題は、「カタラン予想」がテーマ
以上で、「整数問題(2018・東北大学)」の解説を終わります。
少しでも勉強の参考になれば幸いです。それではまた。
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