今回は、2010年に千葉大学で出題された「整数問題」の解説です。

この記事は、「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
整数問題は、重要な3つのアプローチがあります。
整数問題の3つのアプローチ
① 因数分解して絞り込む
② 不等式で絞り込む
③ 倍数、あまりで分類して絞り込む
このアプローチを使いながら解答していきます。
それではいきましょう。
解説:整数(2021・千葉大学)
問題
(1)\(3^n=k^3+1\) を満たす自然数(n,k)の組を全て求めよ。
(2)\(3^n=k^2-40\) を満たす自然数(n,k)の組を全て求めよ。
(2010・千葉大学 医)
千葉大学の入試問題です。

千葉大学はよく整数問題が出題されますね。
(1)解説
$$3^n=k^3+1$$
因数分解で積の形をつくり、候補をしぼる
右辺を因数分解して
$$3^n=(k+1)(k^2-k+1)$$
\begin{array}{|c|c|c|} \hline k+1 & k^2-k+1 \\ \hline 1 & 3^n\\\hline3&3^{n-1}\\\hline3^2&3^{n-2}\\\hline\cdots&\cdots\\\hline3^{n-1}&3\\\hline3^n&1 \\ \hline \end{array}
a,bを正の整数として
$$k+1=3^a , k^2-k+1=3^b$$
とおける
倍数の種類で分類して、候補をしぼる
(左側の式)を(右側の式)に代入して
$$(3^a-1)^2-(3^a-1)+1=3^b$$
$$3^{2a}-3\cdot3^a+3=3^b$$
$$3(\underbrace{3^{2a-1}-3^a+1}_{3の倍数ではない})=3^b$$
\(3^{2a-1}-3^a+1\) が3の倍数にはならないので、「1」である
$$3^{2a-1}-3^a+1=1$$
$$3^a(3^{a-1}-1)=0$$
$$3^{a-1}=1$$
$$a=1$$
よって
$$k+1=3\leftrightarrow k=2$$
よって
$$3^n=9\leftrightarrow n=2$$
したがって
$$n=2 , k=2$$
(2)解説
続いて(2)の解説にいきましょう
$$3^n=k^2-40$$
変形して
$$k^2-3^n=40$$
左辺が因数分解できれば、候補を絞ることができる
nが偶数であれば因数分解できるので、nが偶数かどうか確認する
あまりの種類で分類する
4を法とする合同式を考えて (※補足)
\(k\equiv0\pmod4\) のとき
$$0-(-1)^n\equiv0\pmod4$$
不適
\(k\equiv\pm1\pmod4\) のとき
$$(\pm1)^2-(-1)^n\equiv0\pmod4$$
$$1-(-1)^n\equiv4\pmod4$$
nは偶数
\(k\equiv2\pmod4\) のとき
$$2^2-(-1)^n\equiv0\pmod4$$
$$0-(-1)^n\equiv0\pmod4$$
不適
nは偶数なので \(n=2s\) とおける
$$k^2-3^{2s}=40$$
因数分解して、 「( 式 )( 式 )=数」 の形をつくり、候補をしぼる
因数分解して
$$(k+3^s)(k-3^s)=40$$
\((k+3^s)>(k-3^s)\) であることに注意すると
\begin{array}{|c|c|c|} \hline k+3^s & k-3^s \\ \hline40&1\\\hline20&2\\\hline10&4\\\hline8&5\\\hline \end{array}
の4パターン。
倍数の種類で分類する
この中から
\((k+3^s)+(k-3^s)=2k\) なので、
足すと偶数になることに注意すると
\begin{array}{|c|c|c|} \hline k+3^s & k-3^s \\\hline20&2\\\hline10&4\\\hline \end{array}
の2パターン。それぞれ解いて、
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} k+3^2=20 \\ k-3^2= 2 \end{array} \right. \end{eqnarray}
を解くと
$$k=11\rightarrow s=2\rightarrow n=4$$
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} k+3^2=10 \\ k-3^2= 4 \end{array} \right. \end{eqnarray}
を解くと
$$k=7\rightarrow s=1\rightarrow n=2$$
したがって
( n , k )=( 4 , 11 ),( 2 , 7 )
※補足
合同式は、あまりのみに着目した等式です。以下の記事を参考にしてください。
整数問題の記事
整数問題に関しては、以下の記事も参考になると思います。
まとめ:千葉大学 整数問題
整数問題の大切なポイントをもう一度確認します。
整数問題の3つのアプローチ
① 因数分解して絞り込む
② 不等式で絞り込む
③ 倍数、あまりで分類して絞り込む
以上のポイントを確認しながら、候補を絞り込んで「整数解」を求めましょう。
これで解説終わります。

少しでも参考になれば幸いです。
それではまた。
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