
対称式の基本的な問題の解説です。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
今回は、青山学院大学の過去問を通して「対称式」の問題の解法パターンを解説します。
この記事を読むと「対称式の基本的な解法」を理解することができます。
それではそっさくみていきましょう。
問題
α+β=2,αβ=4とする。このとき以下の値を求めよ。(2021・青山学院大学)
(1)α6+β6
(2)α7−β7α−β
解法1
対称式の1番基本的な解法です。
対称式(αとβをひっくり返しても、同じ式になる式)は基本対称式(α+β,αβ)で表すことができる
まず
α3+β3
=(α+β)3−3αβ(α+β)
=23−3⋅4⋅2
=8−24=−16
さらに
α6+β6
=(α3+β3)2−2α3β3
=(−16)2−2⋅43
=256−128=128
xn−yn=(x−y)(xn−1+xn−2y+⋯+xyn−2+yn−1)
と因数分解できる
α7−β7α−β
=(α−β)(α6+α5β+α4β2+α3β3+α2β4+αβ5+β6)α−β
=(α6+β6)+αβ(α4+β4)+α2β2(α2+β2)+α3β3
ここで
α2+β2=(α+β)2−2αβ
=22−2⋅4=−4
α4+β4=(α2+β2)2−2α2β2
=(−4)2−2⋅42=−16
を代入して
=(α6+β6)+αβ(α4+β4)+α2β2(α2+β2)+α3β3
=128+4⋅(−16)+42⋅(−4)+43
=128−64−64+64=64
解法2

漸化式を作る面白い解き方です。
漸化式を作って、機械的にαn+βnを求める
α+β=2,αβ=4より
解と係数の関係から、α,β は x2−2x+4=0 の解である。
よって
α2−2α+4=0
両辺αn倍すると
αn+2−2αn+1+4αn=0
同様に
βn+2−2βn+1+4βn=0
辺々足して
αn+2+βn+2−2(αn+1+βn+1)+4(αn+βn)=0
An=αn+βnとおくと
(A0=α0+β0=1+1=2 , A1=α+β=2)
An+2−2An+1+4An=0
An+2=2An+1−4An
n=0,1,2⋯と次々に求める
A2=2A1−4A0=2⋅2−4⋅2=−4
A3=2A2−4A1=2⋅(−4)−4⋅2=−16
A4=2A3−4A2=2⋅(−16)−4⋅(−4)=−16
A5=2A4−4A3=2⋅(−16)−4⋅(−16)=32
A6=2A5−4A4=2⋅32−4⋅(−16)=128
したがってa6+b6=A6=128
α7−β7α−β
=(α−β)(α6+α5β+α4β2+α3β3+α2β4+αβ5+β6)α−β
=(α6+β6)+αβ(α4+β4)+α2β2(α2+β2)+α3β3
(1)より
=128+4⋅(−16)+42⋅(−4)+43
=128−64−64+64=64
解法3

3乗の公式を使って、鮮やかな解法もあります。
3乗の公式
(x±y)(x2∓xy+y)=x3±y3
α+β=2,αβ=4より
解と係数の関係から、α,β は x2−2x+4=0 の解である。
よって
α2−2α+4=0
両辺α+2倍する
(α+2)(α2−2α+4)=0
α3+23=0
α3=−8
α6=(α3)2=(−8)2=64
同様に
β6=64
よって
α6+β6=64+64=128
α6=64 , β6=64より
両辺α倍、β倍して
α7=64α , β7=64β
α7−β7α−β=64α−64βα−β
=64(α−β)α−β
=64
まとめ:対称式の解き方3通り
今回は対称式の問題の3通りの解き方を紹介しました。
・解法1・・・対称式を基本対称式で表して代入する解法
・解法2・・・解と係数の関係を利用し、漸化式をつくる解法
・解法3・・・3乗の公式をうまく利用した、鮮やかな解法
「対称式」は定期考査、入試では頻出の題材です。
対称式の問題は、パターンを理解してマスターしましょう。
少しでも参考になれば幸いです。それではまた。
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