今回、整数問題(2022・東京大学・文科)の解説をします。
この記事を読むと
- 整数問題(2022・東京大学・文科)の解法
- 合同式を利用した解法
- 整数問題の「数学的帰納法」の利用方法
- 最大公約数の利用方法
について理解できます。
この記事は「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題:整数問題(2022・東京大学・文科)
数列\({a_n}\)を次のように定める。
$$a_1=4 , a_{n+1}=a_n^2+n(n+2) (n=1,2,3,\cdots)$$
(1) \(a_{2022}\) を3で割った余りを求めよ。
(2) \(a_{2022} , a_{2023} , a_{2024}\) の最大公約数を求めよ。
解説:整数問題(2022・東京大学・文科)
実験(とりあえず\(a_1,a_2,a_3\)を求める)
$$a_1=4$$
$$a_2=4^2+2\cdot4=24$$
$$a_3=24^2+3\cdot5=584$$
これ以上は大きくなってしまって、計算が大変そうです。
実験(\(a_n\pmod3\)を具体的に求める)
「3で割ったあまり(mod3)」に注目して考えます。
$$a_1\equiv4\equiv1\pmod3$$
$$\color{blue}{a_2\equiv1^2+2\cdot4\equiv9\equiv0\pmod3}$$
$$a_3\equiv0^2+3\cdot5\equiv15\equiv0\pmod3$$
$$a_4\equiv0^2+4\cdot6\equiv24\equiv0\pmod3$$
$$a_5\equiv0^2+5\cdot7\equiv35\equiv2\pmod3$$
$$a_6\equiv2^2+6\cdot8\equiv52\equiv1\pmod3$$
$$a_7\equiv1^2+7\cdot9\equiv64\equiv1\pmod3$$
$$\color{blue}{a_8\equiv1^2+8\cdot10\equiv81\equiv0\pmod3}$$
$$\cdot$$
\(a_2\)と\(a_8\)の仕組みが「\(1^2\)+(3の倍数以外の積) 」で同じことに気づくと
この後同様に繰り返すと予想できます。
つまり
3で割ったあまりは 1、0、0、0、2、1 の繰り返し
と予想します。
(1)解答:数学的帰納法利用
\(k=0,1,2,3\cdots\) として
\begin{eqnarray} \begin{cases} a_{6k+1}\equiv 1\pmod3 \\ a_{6k+2}\equiv 0\pmod3 \\a_{6k+3}\equiv0\pmod3\\a_{6k+4}\equiv0\pmod3\\a_{6k+5}\equiv2\pmod3\\a_{6k+6}\equiv1\pmod3 \end{cases} \end{eqnarray}
を数学的帰納法を使って示す
(i)\(k=0\) のとき
$$a_1\equiv4\equiv1\pmod3$$
$$a_2\equiv1^2+2\cdot4\equiv9\equiv0\pmod3$$
$$a_3\equiv0^2+3\cdot5\equiv15\equiv0\pmod3$$
$$a_4\equiv0^2+4\cdot6\equiv24\equiv0\pmod3$$
$$a_5\equiv0^2+5\cdot7\equiv35\equiv2\pmod3$$
$$a_6\equiv2^2+6\cdot8\equiv52\equiv1\pmod3$$
よって成立する
(ii)\(k=s\) のとき成立すると仮定する
\begin{eqnarray} \begin{cases} a_{6s+1}\equiv 1\pmod3 \\ a_{6s+2}\equiv 0\pmod3 \\a_{6s+3}\equiv0\pmod3\\a_{6s+4}\equiv0\pmod3\\a_{6s+5}\equiv2\pmod3\\a_{6s+6}\equiv1\pmod3 \end{cases} \end{eqnarray}
\(k=s+1\) のとき
\begin{array}{ccc} a_{6(s+1)+1}&\equiv& a_{6s+7}&\equiv& a_{6s+6}^2+(6s+7)(6s+9)&\equiv&1^2+1\cdot0&\equiv&1\pmod3 \\a_{6(s+1)+2}&\equiv& a_{6s+8}&\equiv& a_{6s+7}^2+(6s+8)(6s+10)&\equiv&1^2+2\cdot1&\equiv&0\pmod3 \\a_{6(s+1)+3}&\equiv& a_{6s+9}&\equiv& a_{6s+8}^2+(6s+9)(6s+11)&\equiv&0^2+0\cdot2&\equiv&0\pmod3 \\a_{6(s+1)+4}&\equiv& a_{6s+10}&\equiv& a_{6s+9}^2+(6s+10)(6s+12)&\equiv&0^2+1\cdot0&\equiv&0\pmod3 \\a_{6(s+1)+5}&\equiv& a_{6s+11}&\equiv& a_{6s+10}^2+(6s+11)(6s+13)&\equiv&0^2+2\cdot1&\equiv&2\pmod3 \\a_{6(s+1)+6}&\equiv& a_{6s+12}&\equiv& a_{6s+11}^2+(6s+12)(6s+14)&\equiv&2^2+0\cdot2&\equiv&1\pmod3 \end{array}
よって成立する
(i)(ii)より
\begin{eqnarray} \begin{cases} a_{6k+1}\equiv 1\pmod3 \\ a_{6k+2}\equiv 0\pmod3 \\a_{6k+3}\equiv0\pmod3\\a_{6k+4}\equiv0\pmod3\\a_{6k+5}\equiv2\pmod3\\a_{6k+6}\equiv1\pmod3 \end{cases} \end{eqnarray}
したがって
$$a_{2022}\equiv a_{6\cdot337}\equiv1\pmod3$$
(2)解答:最大公約数
\(a_{2022} , a_{2023} , a_{2024}\) の最大公約数をdとする
$$a_{n+1}=a_n^2+n(n+2)$$
を変形して
$$a_{n+1}-a_n^2=n(n+2)$$
\(n=2023 , 2022\) を代入して
$$a_{2024}-a_{2023}^2=2023\cdot2025・・・①$$
$$a_{2023}-a_{2022}^2=2022\cdot2024・・・②$$
①②ともに左辺は、dを因数にもつ(dで割り切れる)
また、①②の右辺を考えて
\begin{array}{ccc} ①・・・2023\cdot2025&=&(7\cdot17^2)(3^4\cdot5^2)&=&\color{red}{3}^4\cdot5^2\cdot7\cdot17^2 \\ ②・・・2022\cdot2024&=&(2\cdot3\cdot337)(2^3\cdot11\cdot23)&=&2^4\cdot\color{red}{3}\cdot11\cdot23\cdot337 \end{array}
①②の共通の素因数は「3」のみである。
したがって、dの候補は「1」か「3」となる
(1)より \(a_{2022}\) は「3」で割り切れないことから
$$d=1$$
補足
合同式(mod)は「あまりに着目した等式」です。合同式を利用すると、整数問題は効率よく問題を解くことができます。以下の記事を参考にしてください。
整数問題(2022・東京大学・理科)は以下の記事で解説しています。
まとめ:整数問題(2022・東京大学・文科)
整数問題(2022・東京大学・文科)の解説まとめは以下の通り。
- 3で割ったあまり(mod3)を考えると、周期性がある
- 数学的帰納法で、\(a_n\pmod3\)を求める
- 「素因数分解」して候補をしぼる
以上で、整数問題(2022・東京大学・文科)の解説を終わります。
少しでも勉強の参考になれば幸いです。それではまた。
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