【整数】x^2+y^2=2009^nを満たす自然数x、yが存在することを示せ(2009・横浜国立大)【難問】

整数

今回は、「横浜国立大学」の入試問題の解説です。2009年に出題された年号に関する整数問題を解説します。

この記事を読むと、

・どうして良いかわからない問題のアプローチ方法

・数学的帰納法の使い所

・目的を見据えた式変形

について理解することができます。

この記事は、「わか」が執筆しています。

私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。

問題

問題

nを自然数とする。\(x^2+y^2=2009^n\) を満たす自然数x、yが存在することを示せ。

(2009・横浜国立大学)

全てのnに対して、自然数x、yが存在することを証明しなくてはなりません。なかなか難しそうですね、、、。

解説

難しそうな問題、何をして良いかわからない問題のまず第1歩は

具体的な数字を考えて、実験せよ。

です。具体的に考えることで、解答への糸口を見つけることができます。

それでは実験しながら発想を見ていきましょう。

発想

まず、n=1 のとき実験

2009を素因数分解できないか試す(「困難は分割せよ!」)

3,5では割り切れない。7を試すと割り切れる

\(2009=7^2\times41\)である

\(41=○^2+△^2\) の形をつくることができればよい

\(41=4^2+5^2\) であることに気づくと、n=1のときは成り立つ

次に\(2009^n\)を考える

\(2009^n=(7^2\times41)^n=(7^n)^2\times41^n\)

\(41^n=○^2+△^2\)の形が作れることを示す。

全てのnに対して成立することを示すので、「数学的帰納法」が有効ではないかと考える。

以上の発想から解答をつくっていきます。

解答

$$x^2+y^2=2009^n$$

$$x^2+y^2=(7^2\times41)^n$$

$$x^2+y^2=(7^n)^2\times41^n$$

\(41^n=a^2+b^2\) を満たす自然数\(a,b (a≤b)\)が存在すればよい

数学的帰納法でこれを示す

(i) \(n=1\) のとき

$$41=16+25=4^2+5^2$$

したがって成立する

(ii) \(n=k\) のとき成立すると仮定する

\(41^k=a^2+b^2\)を満たす自然数\(a,b (a≤b)\) が存在する

\(n=k+1\) のとき

$$41^{k+1}$$

$$=41\times41^k$$

$$=41(a^2+b^2)$$

$$=(4^2+5^2)(a^2+b^2)$$

$$=4^2a^2+4^2b^2+5^2a^2+5^2b^2$$

$$=(5b-4a)^2+(4b+5a)^2$$

(※補足)

したがって成立する

(i)(ii)より

\(41^n=a^2+b^2\) を満たす自然数\(a,b (a≤b)\)が存在する

$$x^2+y^2=(7^n)^2\times(a^2+b^2)$$

$$x^2+y^2=(7^n\times a)^2+(7^n\times b)^2$$

よって\(x^2+y^2=2009^n\)を満たす自然数x,yが存在する

※補足

因数分解\(\require{\cancel}\)

$$(ad-bc)^2+(ac+bd)^2=(a^2+b^2)(c^2+d^2)$$

を知っていると、変形が思いつきやすいです。実際の入試問題では、この因数分解の誘導があります。

証明

$$(左辺)=(ad-bc)^2+(ac+bd)^2$$

$$=a^2d^2\cancel{-2abcd}+b^2c^2+a^2c^2\cancel{+2abcd}+b^2d^2$$

$$=a^2(c^2+d^2)+b^2(c^2+d^2)$$

$$=(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(右辺)$$

数学的帰納法を利用して、全てのnに対して成り立つことを示す。

\(○^2+△^2\) の形を、変形しながら作っていく。

まとめ:x^2+y^2=2009^nを満たす自然数x、yの存在

今回のまとめは以下の通り。

・発想が思い浮かばない時は、具体的な数字で実験する

・全ての自然数で成り立つことを示すときは、「数学的帰納法」は強力な武器

・\(○^2+△^2\) の形をうまくつくる

以上、横浜国立大学の整数問題の過去問解説でした。

少しでもみなさんの参考になれば幸いです。それではまた。

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