今回は、「整数問題(2022・東北大)」の解説です。
この記事を読むと
- 整数問題(2022・東北大)の解法
- 「x+y+z=○ の整数解の個数」 と 「組分け問題」の読み替え
- 整数問題の実験の重要性
について理解することができます。
この記事は、「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題:整数問題(2022・東北大)
Kを3より大きな奇数とし、\(l+m+n=K\) を満たす正の奇数の組 \((l,m,n)\) の個数Nを考える。ただし、例えば、\(K=5\)のとき、\((l,m,n)=(1,1,3)\)と\((l,m,n)=(1,3,1)\)とは異なる組とみなす。
(1)\(K=99\) のとき、Nを求めよ。
(2)\(K=99\) のとき、\(l,m,n\) の中に同じ奇数を2つ以上含む\((l,m,n)\) の個数を求めよ。
(3)\(N>K\) を満たす最小のKを求めよ。
解説:整数問題(2022・東北大)
とりあえず実験
\(K=3\)のとき \(l+m+n=3\)
\((l,m,n)=(1,1,1) \rightarrow N=1\) 通り
\(K=5\)のとき \(l+m+n=5\)
\begin{eqnarray} (l,m,n) &=& (1,1,3) \\ &&(1,3,1)\\ &&(3,1,1)\end{eqnarray}
\(\rightarrow N=3\) 通り
\(K=7\)のとき \(l+m+n=7\)
\begin{eqnarray} (l,m,n) &=& (1,1,5) \times3\\ &&(1,3,3)\times3\end{eqnarray}
\(\rightarrow N=6\) 通り
\(K=9\)のとき \(l+m+n=9\)
\begin{eqnarray} (l,m,n) &=& (1,1,7) \times3\\ &&(1,3,5)\times6\\&&(3,3,3)\times1\end{eqnarray}
\(\rightarrow N=10\) 通り
(1)解説:奇数の組の個数N
\(K=99\) のとき
$$l+m+n=99・・・①$$
\(l,m,n\) は奇数なので
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} l&=&2a+1&(a=0,1,2,\cdots) \\ m&=&2b+1&(b=0,1,2,\cdots) \\n&=&2c+1&(c=0,1,2,\cdots) \end{array} \right. \end{eqnarray}
とおける
①は次のように変形できる
$$(2a+1)+(2b+1)+(2c+1)=99$$
$$2a+2b+2c=96$$
$$a+b+c=48・・・❶$$
これを満たす、非負整数 \(a,b,c\) の組の個数を求めればよい
これは、
「区別のつかない48個のボールを、区別のつく3つのグループに分ける組分けの個数」
と等しい
48個のボールと2本の仕切りを考えて
$$\underbrace{〇 〇 \cdots\cdots ○ ○}_{48個} | | $$
この並び変えの個数を考えればよい
$$N=_{50}C_2=\frac{50\cdot49}{2\cdot1}=1225$$
補足:組分け問題について
組分け問題に関しては、以下の記事で解説しているので参考にしてください。
(2)解説:同じ数を2つ以上含む場合
(1)のときと同様に
$$a+b+c=48・・・❶$$
を満たす \(a,b,c\) の中に同じ非負整数が2つ以上ある組の個数を考えればよい
\begin{eqnarray} (a,b,c) &=& (0,0,48)&\times3\\ &&(1,1,46)&\times3\\&&(2,2,44)&\times3\\&&\cdots\\&&(15,15,18)&\times3\\&&\color{blue}{(16,16,16)}&\color{blue}{\times1}\\&&(17,17,14)&\times3\\&&\cdots\\&&(24,24,0)&\times3\end{eqnarray}
よって \(24\times3+1=73\)
(3)解説:N>Kの最小のK
Kの最小は「3」である
\(K=3,5,7,9\cdots\) と試して、\(N>K\) となるときを調べる
実験から、\(K=9\)のとき初めて\(N>K\)となるので、
\(N>K\) を満たす最小のKは「9」
他大学の整数問題
他の大学の整数問題の解説もしています。ぜひご覧ください。
まとめ:整数問題(2022・東北大)
「整数問題(2022・東北大)」の解説まとめは以下の通りです。
- 「奇数という条件」を文字でおくことで、式変形をして、「整数の条件」に置き換える
- a+b+c=○ の整数の組は、「同じものを、異なるグループに分ける組分け」と考えることができる
- 整数問題は、実験することが大切
「整数問題(2022・東北大)」の解説は以上で終わります。
少しでも勉強の参考になれば幸いです。それではまた。
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