今回は、「2022年 共通テスト 数学ⅠA 問3(確率)」の解説です。
この記事を読めば、
・2020年 共通テスト 数学ⅠA 問3(確率)の解き方
・プレゼント交換の確率(完全順列)
について理解できます。
この記事は、「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題前提
「プレゼント交換を行ったとき、全員が自分以外の人のプレゼントを受け取る」というような順列を完全順列(錯乱順列)といい、完全順列の総数をモンモール数といいます。
完全順列に関して詳しい解説は以下を参考にしてください。
今回の問題は、
完全順列(全員が自分以外のプレゼントを受け取る)となれば、終了。
完全順列にならなければ(自分のプレゼントを受け取ってしまう人が1人でもいるならば)何度もプレゼント交換を行う
という設定です。
(1)解説
「2人で交換、3人で交換するのときの完全順列となる確率」
「3人で交換するときの4回以下で交換が終了する確率」
を求める。
1回目のプレゼント交換で終了するのは、
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B & \\ \hline a & b&× \\ \hline b&a&○\\ \hline \end{array}
○のときなので、1通り・・・(ア)
プレゼント交換の総数は \(2!=2\) 通り なので、
\(\dfrac{1}{2}\)・・・(イ)(ウ)
1回目のプレゼント交換で終了するのは、
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B &C& \\ \hline a & b&c&× \\ \hline a& c&b&× \\ \hline b & a&c&× \\ \hline b & c&a&○ \\ \hline c & a&b&○ \\ \hline c & b&a&× \\ \hline \end{array}
○のときなので、2通り・・・(エ)
プレゼント交換の総数は \(3!=6\) 通り なので、
\(\dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3}\)・・・(オ)(カ)
「4回以下で終了する」 余事象
4回目までに終了しない
を考える。
1回で終了する確率は \(\dfrac{1}{3}\) なので
逆に終了せず継続する確率は \(1-\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{3}\)
「4回目までに終了しない確率」は
\begin{array}{|c|c|c|} \hline ①& ②&③&④ \\\hline ×& ×&×&× \\ \hline \frac{2}{3} & \frac{2}{3} &\frac{2}{3}&\frac{2}{3} \\\hline \end{array}
$$\frac{2}{3}\times\frac{2}{3}\times\frac{2}{3}\times\frac{2}{3}=\frac{16}{81}$$
したがって、「4回目以前に終了する確率」は
\(1-\dfrac{16}{81}=\dfrac{65}{81}\)・・・(キ)(ク)(ケ)(コ)
(2)解説
「4人で交換するのときの完全順列となる確率」を求める
① 1人が自分のプレゼントを受け取る場合
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B&C&D \\\hline a&b以外 &c以外&d以外 \\\hline \end{array}
b,c,dの3人が自分のプレゼントを受け取らないのは、(1)より 2通り
自分のプレゼントを受け取るのが a,b,c,d のときの4パターン あるので、
\(2\times4=8\) 通り・・・(サ)
② 2人が自分のプレゼントを受け取る場合
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B&C&D \\\hline a&b &c以外&d以外 \\\hline \end{array}
c,dの2人が自分のプレゼントを受け取らないのは、(1)より 1通り
自分のプレゼントを受け取るのが a,b,c,d から2人を選ぶので
\(_4C_2=\dfrac{4\times3}{2\times1}=6\)パターン あるので、
\(1\times6=6\) 通り・・・(シ)
③ 3人が自分のプレゼントを受け取る場合
これは「全員が自分のプレゼント」を受け取る場合なので 1通り
①、②、③より 「1回目で終了しない」のは
\(8+6+1=15\)・・・(ス)(セ)
「1回目で終了する」のは プレゼント交換の総数は\(4!=24\)通り より
\(1-\dfrac{15}{24}=1-\dfrac{5}{8}=\dfrac{3}{8}\)・・・(ソ)(タ)
4人交換は、以前で求めた3人、2人のときをうまく利用してするとよい
(3)解説
「4人で交換するのときの完全順列となる確率」を求める
(2)と同様に考える
① 1人が自分のプレゼントを受け取る場合
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B&C&D&E \\\hline a&b以外 &c以外&d以外&e以外 \\\hline \end{array}
b,c,d,eの4人が自分のプレゼントを受け取らないのは、(2)より \(24-15=9\)通り
自分のプレゼントを受け取るのが a,b,c,d,e のときの5パターン あるので、
\(9\times5=45\) 通り
② 2人が自分のプレゼントを受け取る場合
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B&C&D&E \\\hline a&b &c以外&d以外&e以外 \\\hline \end{array}
c,d,eの3人が自分のプレゼントを受け取らないのは、(2)より 2通り
自分のプレゼントを受け取るのが a,b,c,d,e から2人を選ぶので
\(_5C_2=\dfrac{5\times4}{2\times1}=10\)パターン あるので、
\(2\times10=20\) 通り
② 3人が自分のプレゼントを受け取る場合
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B&C&D&E \\\hline a&b &c&d以外&e以外 \\\hline \end{array}
d,eの2人が自分のプレゼントを受け取らないのは、(1)より 1通り
自分のプレゼントを受け取るのが a,b,c,d,e から3人を選ぶので
\(_5C_3=\dfrac{5\times4}{2\times1}=10\)パターン あるので、
\(1\times10=10\) 通り
④ 4人が自分のプレゼントを受け取る場合
これは「全員が自分のプレゼント」を受け取る場合なので 1通り
①、②、③、④より 「1回目で終了しない」のは
\(45+20+10+1=76\)
「1回目で終了する」のは プレゼント交換の総数は\(5!=120\)通り より
\(1-\dfrac{76}{120}=1-\dfrac{19}{30}=\dfrac{11}{30}\)・・・(チ)(ツ)(テ)(ト)
(4)解説
「5人で交換するのときの条件付き確率」を求める
① 5人とも自分のプレゼントではないとき
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B&C&D&E \\\hline a以外&b以外 &c以外&d以外&e以外 \\\hline \end{array}
(3)より \(120-76=44\)通り
② A、B、C、Dが自分以外、Eが自分のプレゼントのとき
\begin{array}{|c|c|c|} \hline A& B&C&D&E \\\hline a以外&b以外 &c以外&d以外&e \\\hline \end{array}
(2)より \(24-15=9\)
①、②より 「ABCDが自分以外のプレゼントを受け取ったとき、プレゼント交換が終了する条件付き確率」は
\(\dfrac{44}{44+9}=\dfrac{44}{53}\)・・・(ナ)(ニ)(ヌ)(ネ)
まとめ:共通テスト(完全順列)
今回のまとめは以下の通り。
・「2022共通テスト確率」はプレゼント交換についての出題で、全員自分のプレゼントを受け取らない「完全順列」がテーマ
・プレゼント交換において、人数を2、3、4、5人まで増やして、完全順列となる確率を求める
・n人の時を考えるとき、(n-1)人、(n-2)人のときを使って求めるとよい
今回のテーマである「完全順列」は以下の記事を参考にしてください。一般項の求め方など解説しています。
以上で「2022 共通テスト 確率」の解説を終わります。
少しでもみなさんの参考になれば幸いです。それではまた。
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