今回は、2021年の京都大学の整数問題を解説します。
文系、理系とも「素数」が出題されました。
整数問題において「素数」は頻出問題なので、ぜひマスターしましょう。
この記事は、「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
整数問題で大切な3つのアプローチ
整数問題は、以下の3つのアプローチを使いこなすことが大切です。
今回も、これを使って解いていきます。
問題(2021・京都大学 理系 問6)
nを2以上の整数とする。\(3^n-2^n\) が素数ならば、nも素数であることを示せ。
(2021・京都大学 理系)
解説(2021・京都大学 理系 問6)
今回は、「対偶」を示します。「対偶」については以下の通り。
命題 「\(p\Rightarrow q\)」 に対して、命題「\(p\)でない\(\Rightarrow q\)でない」 を 元の命題の 「対偶」 という。
対偶と元の命題の真偽は一致する。
そのままの命題を示すより、対偶を示す方が簡単な場合は、「対偶」を示しましょう。
また、整数問題のアプローチの1つ
因数分解する
を使って「素数でない」ことを証明します。
対偶の
nが素数でないならば、\(3^n-2^n\) は素数でない。
を示す。
nは素数ではないので、\(n=a\times b\) (a,bは2以上の整数)と表せる。
$$3^n-2^n=3^{a\times b}-2^{a\times b}$$
$$=(3^a)^b-(2^a)^b$$
因数分解して
$$=\underbrace{(3^a-2^a)}_{2以上の整数}\{\underbrace{(3^a)^b+(3^a)^{b-1}(2^a)+\cdots+(3^a)(2^a)^{b-1}+(2^a)^b}_{2以上の整数}\}$$
「\(3^a-2^b\)」 は2以上の整数
「\((3^a)^b+(3^a)^{b-1}(2^a)+\cdots+(3^a)(2^a)^{b-1}+(2^a)^b\) 」は2以上の整数
よって、\(3^n-2^n\) は素数ではない。
したがって、\(3^n-2^n\) が素数ならば、nも素数である。
(証明終了)
問題(2021・京都大学 文系 問5)
pが素数ならば\(p^4+14\) は素数でないことを示せ。
(2021・京都大学 文系)
解説(2021・京都大学 文系 問5)
整数問題のアプローチ
倍数、あまりに注目して分類する
を使います。3で割ったあまりに注目します。
(i)p=3 のとき
$$p^4+14=81+14=95$$
これは素数ではない
3以外の素数は3の倍数ではないので、3で割ったとき、1もしくは−1となる。
つまり、\(p\equiv \pm1\pmod3\) のときを考えればよい
(ii)\(p\equiv \pm1\pmod3\) のとき
$$p^4+14\equiv 1+14\equiv 15\equiv 0\pmod3$$
\(p^4+14\)は3の倍数となるので、素数ではない。
(i)(ii)のより
\(p^4+14\) は素数でない
合同式(mod)を利用して解答しました。合同式(mod)について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
合同式を利用した、共通テスト2020整数問題の解説はこちら
まとめ
京都大学2021整数問題のまとめは以下の通り。
・「対偶」を示す方が簡単な場合もある(今回は対偶を考えた)
・今回は、整数問題のアプローチ「因数分解」「倍数、あまりで分類」利用
・「素数」は整数問題で頻出である。「因数分解」「倍数、あまりで分類」を使うとアプローチしやすい。
以上で解説を終わります。少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
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