今回は「整数問題(2022・九州大)」について解説しました。
この記事を読むと
- 整数問題(2022・九州大)の解説
- 整数問題のアプローチ方法(因数分解、あまりで分類)
- 整数問題候補を絞ったら、実験
について理解できます。
この記事は、「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題:整数問題(2022・九州大)
自然数m、nが
$$n^4=1+210m^2 ・・・①$$
を満たすとき、以下の問に答えよ。
(1)\(\frac{n^2+1}{2}\) と \(\frac{n^2-1}{2}\) は互いに素であることを示せ。
(2)\(n^2-1\) は 168 の倍数であることを示せ。
(3)①を満たす自然数の組 \((m,n)\) を1つ求めよ。
(2022・九州大学・理系)
解説:整数問題(2022・九州大)
(1)解説:互いに素を示す
まずnが奇数であることを確認
$$n^4=1+210m^2 ・・・①$$
(右辺)\(=\underbrace{1}_{奇数}+\underbrace{210m^2}_{偶数}=\)奇数
よって
(左辺)の \(n^4\) は奇数
\(n^4\)は奇数なので、nは奇数
\(n=2k+1(k=0,1,2,3\cdots)\) とおける
$$\color{blue}{\frac{n^2+1}{2}}=\frac{(2k+1)^2+1}{2}=\frac{4k^2+4k+1}{2}=\color{blue}{2k^2+2k+1}$$
$$\color{blue}{\frac{n^2-1}{2}}=\frac{(2k+1)^2-1}{2}=\frac{4k^2+4k}{2}=\color{blue}{2k^2+2k}$$
連続する2整数なので
$$\color{blue}{2k^2+2k+1}=(\color{blue}{2k^2+2k})\cdot1+1$$
公約数は「1」のみであり
互いに素な整数である
(証明終)
偶奇(mod2)で分類するのは、定石の1つ
(2)解説:168の倍数を示す
①を変形して(1)の形に近づける
$$n^4=1+210m^2 ・・・①$$
$$n^4-1=210m^2$$
$$(n^2+1)(n^2-1)=210m^2$$
$$(n^2+1)(n^2-1)=2\cdot3\cdot5\cdot7m^2$$
$$\frac{n^2+1}{2}\frac{n^2-1}{2}=\frac{3\cdot5\cdot7m^2}{2} ・・・❶$$
\(\dfrac{n^2-1}{2}\)が「3の倍数」、「7の倍数」を確認する
\begin{array}{|c|c|c|} \hline n & -1 & 0&1 \\ \hline n^2+1\pmod3 & 2 & 1&2 \\ \hline \end{array}
\begin{array}{|c|c|c|} \hline n & -3&-2&-1 & 0&1&2&3 \\ \hline n^2+1\pmod7 &3&5& 3 & 1&3&5&3 \\ \hline \end{array}
\(\dfrac{n^2+1}{2}\)が「3の倍数」、「7の倍数」ではないので
$$\underbrace{\frac{n^2+1}{2}}_{3,7の倍数ではない}\color{blue}{\frac{n^2-1}{2}}=\frac{\color{blue}{3}\cdot5\cdot\color{blue}{7}m^2}{2} ・・・❶$$
\(\dfrac{n^2-1}{2}\)が「3の倍数」、「7の倍数」となる
\(\dfrac{n^2-1}{2}\)が「4の倍数」を確認する
(1)より
$$\dfrac{n^2-1}{2}=2k^2+2k=2\underbrace{k(k+1)}_{2の倍数}$$
\(\dfrac{n^2-1}{2}\) は、2×(連続2整数)となっているので「4の倍数」
よって
$$\frac{n^2-1}{2}=3\cdot4\cdot7k (k=0,1,2,3,\cdots)$$
$$n^2-1=168k$$
したがって、\(n^2-1\) は168の倍数となる
(証明終)
「因数分解」や「あまりで分類(今回は、mod3,mod7)」することで候補をしぼるのは整数問題のアプローチ
(3)解説:整数解を1つを求める
(2)より \(n^2=168k+1\)なので❶を変形して
$$168k(84k+1)=3\cdot5\cdot7m^2$$
$$8k(84k+1)=5m^2$$
ここで\(\pmod5\)を考えると
$$3k(-k+1)\equiv0\pmod5$$
$$k\equiv0,1\pmod5$$
つまりkの候補は、\(k=1,5,6,10,11,15\cdots\)などである。
小さい方から考えて、
\(k=1\) のとき
$$8\cdot85=5m^2$$
$$8\cdot17=m^2$$
不適
\(k=5\) のとき
$$8\cdot5\cdot421=5m^2$$
$$8\cdot421=m^2$$
不適
\(k=6\) のとき
$$8\cdot6\cdot505=5m^2$$
$$8\cdot6\cdot101=m^2$$
不適
\(k=10\) のとき
$$8\cdot10\cdot841=5m^2$$
$$16\cdot841=m^2$$
$$4^2\cdot29^2=m^2$$
$$m^2=116^2$$
$$m=116$$
よって \((m,k)=(116,10)\)
このとき
$$n^2-1=1680$$
$$n^2=1681$$
$$n=41$$
したがって1つの整数解は \((m,n)=(116,41)\)
候補をしぼったら、最後に実験(具体的に数値を代入)
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まとめ:整数問題(2022・九州大)
整数問題(2022・九州大)の解説まとめは以下の通りです。
- 偶奇に注意
- 整数問題(2022・九州大)は、「因数分解」 → 「あまりで分類」で候補をしぼる
- 最後は、具体的に数字を代入して実験する
以上で、整数問題(2022・九州大)の解説を終わります。
少しでも、勉強の参考になれば幸いです。それではまた。
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