今回は、3乗根 \(\sqrt[3]{\sqrt5+2}-\sqrt[3]{\sqrt5-2}\) の計算について解説します。
この記事を読むと
・3乗根の計算方法
・3次方程式への帰着方法
・3次方程式の解き方
について理解できます。
この記事は、「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題
\(\sqrt[3]{\sqrt5+2}-\sqrt[3]{\sqrt5-2}\) を求めよ。
3乗根の計算です。どうすれば良いかわかりませんね、、、。一回解法を体験すれば、解いていくことができますので、ぜひ頑張ってみましょう。
解説:3乗根の計算
それでは、解説していきます。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x=\sqrt[3]{\sqrt5+2} \\ y=\sqrt[3]{\sqrt5-2} \end{array} \right. \end{eqnarray}
とおく
\(x-y\) を求めればよい
$$xy=\sqrt[3]{(\sqrt5)^2-2^2}=\sqrt[3]{5-4}=1・・・①$$
\(x,y\) をそれぞれ3乗して
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x^3=\sqrt5+2 \\ y^3=\sqrt5-2 \end{array} \right. \end{eqnarray}
$$x^3-y^3=4$$
左辺を変形して 【補足1】
$$(x-y)^3+3xy(x-y)=4$$
①より \(xy=1\) 、\(A=x-y\) とおくと
\(A=x-y\) を求めればよい
$$A^3+3A=4$$
$$A^3+3A-4=0$$
組立除法を利用して因数分解する 【補足2】
\begin{array}{c|cc} & 1 & 0& 3 & -4 \\ 1 & & 1&1&4 \\ \hline &1&1&4&0\end{array}
$$(A-1)(A^2+A+4)=0$$
$$A=1,A=\frac{-1\pm\sqrt{-15}}{2}$$
\(A=x-y\) は (実数)ー(実数)なので、実数となるので、
$$A=1$$
したがって
$$A=x-y=\sqrt[3]{\sqrt5+2}-\sqrt[3]{\sqrt5-2}=1$$
補足1:3乗の式変形
次の式変形はよく使われます。
\(x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)\)
この3乗の式変形は素早くつくれるとよいです。
3乗の展開公式からすぐに導くことができます。
$$(x+y)^3=x^3+3x^2y+3xy^2+y^3$$
$$\Leftrightarrow x^3+y^3=(x+y)^3-3x^2y-3xy^2$$
$$\Leftrightarrow x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)$$
また、\(y\)を\(-y\)に変えた、以下の式もすぐに使えるようにしましょう。
\(x^3-y^3=(x-y)^3+3xy(x-y)\)
今回の問題では、この式変形を使っています。
補足2:3次式の因数分解
\(\sqrt[3]{\sqrt5+2}-\sqrt[3]{\sqrt5-2}\) をテーマにした入試問題
今回の問題は、多くの大学でテーマになっています。
2017・和歌山大学
\(α=\sqrt[3]{\sqrt5+2}−\sqrt[3]{\sqrt5−2}\) とする。次の問いに答えよ。
(1) 3 次方程式 \(x^3+3x−4=0\) の解を複素数の範囲で、すべて求めよ
(2) \(α^3+3α\) は整数であることを示せ
(3) \(α\) は整数であることを示せ
2015・横浜国立大学
等式\(\sqrt[3]{\sqrt5+2}−\sqrt[3]{\sqrt5−2}=1\)・・・(※)
が知られている。左辺を見て、右辺を想像することは一見難しい。これを証明するために以下の問いに答えよ。
(1) (※) の左辺を変形し、近似式
$$(1+x)^a≒1+ax+\frac{a(a−1)x^2}{2}+\frac{a(a−1)(a−2)x^3}{6} (|x|<1)$$
を用いて(a は実数)、その近似値を求めよ。ただし簡単にするため、\(5^{-\frac{1}{3}}≒0.6\)とする
(2) 3 次方程式 \(x3+3x−4=0\) を用いて,上の等式 (※) を証明せよ
問題に挑戦してみてください。
まとめ:3乗根の計算
今回のまとめは以下の通りです。
・\(\sqrt[3]{\sqrt5+2}-\sqrt[3]{\sqrt5-2}=1\)
・3次方程式の解に帰着させる
・3次方程式は組立除法を利用して解く
以上で、「3乗根の計算」の解説を終わります。
少しで勉強の参考になれば幸いです。それではまた。
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