今回は、「整数問題(2022・京都大学)」の解説をします。
この記事を読むと
- 整数問題(2022・京都大学)の解答
- 整数問題(2022・京都大学)の実験
- 合同式を用いて、あまりに着目して場合分けする方法
を理解することができます。
この記事は「わか」執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
問題:整数問題(2022・京都大学)
\(n\) を自然数とする。3つの整数
$$n^2+2 , n^4+2 , n^6+2$$
の最大公約数 \(A_n\) を求めよ。
(2002・京都大学)
実験
まず具体的な数字を代入して、実験をします。
具体的な数字を代入して、最大公約数を求める
\begin{array}{|c|c|c|} \hline &1&2&3&4&5&6\\\hline n^2+2&3&6&11&18&27&38 \\ \hline n^4+2 &3&18&83&258&25^2+2&36^2+2\\\hline n^6+2&3&66&731&4098&25^3+2&36^3+2\\\hline A_n&3&6&1&6&3&2\\ \hline \end{array}
またmod3を考えると
\begin{array}{|c|c|c|} \hline n &1&2&3&4&5&6\\\hline n^2+2\pmod3&0&0&2&0&0&2 \\ \hline n^4+2 \pmod3 &0&0&2&0&0&2\\\hline n^6+2\pmod3&0&0&2&0&0&2\\ \hline \end{array}
mod2を考えると
\begin{array}{|c|c|c|} \hline n &1&2&3&4&5&6\\\hline n^2+2\pmod2&0&1&0&1&0&1 \\ \hline n^4+2 \pmod2 &0&1&0&1&0&1\\\hline n^6+2\pmod2&0&1&0&1&0&1\\ \hline \end{array}
mod6を考えるとうまくいきそうという見当を付ける。
整数問題の大切なアプローチのひとつ
倍数やあまりで分類する
を使います。
解答
\(n^4+2\) を \(n^2+2\) で割ると6余る ユークリッド互除法利用
$$n^4+2=(n^2+2)(n^2-2)+6$$
より、\(n^4+2\) と \(n^2+2\) の最大公約数は
\(n^2+2\) と 6 の最大公約数と等しい
\(n^6+2\) を \(n^2+2\) で割ると-6余る ユークリッド互除法利用
$$n^6+2=(n^2+2)(n^4-2n^2+2)-6$$
より、\(n^6+2\) と \(n^2+2\) の最大公約数は
\(n^2+2\) と 6 の最大公約数と等しい
\(A_n\) は6の約数「1、2、3、6」のいずれかが候補となる
\(n^2+2\) を6で割った余りを考えれば良いので
以下 \(\pmod6\) を考える
① \(n\equiv0\pmod6\) のとき
$$n^2+2\equiv2\pmod6$$
$$n^4+2\equiv2\pmod6$$
$$n^6+2\equiv2\pmod6$$
したがって、\(A_n=2\)
② \(n\equiv\pm1\pmod6\) のとき
$$n^2+2\equiv3\pmod6$$
$$n^4+2\equiv3\pmod6$$
$$n^6+2\equiv3\pmod6$$
したがって、\(A_n=3\)
③ \(n\equiv\pm2\pmod6\) のとき
$$n^2+2\equiv6\equiv0\pmod6$$
$$n^4+2\equiv18\equiv0\pmod6$$
$$n^6+2\equiv66\equiv0\pmod6$$
したがって、\(A_n=6\)
④ \(n\equiv3\pmod6\) のとき
$$n^2+2\equiv11\pmod6$$
$$n^4+2\equiv83\pmod6$$
$$n^6+2\equiv73\pmod6$$
したがって、\(A_n=1\)
①、②、③、④より
\begin{eqnarray} A_n = \begin{cases} 2 & ( n \equiv 0\mod6 ) \\ 3 & ( n \equiv \pm1\mod6 ) \\6 & ( n \equiv \pm2\mod6 ) \\1 & ( n \equiv \pm3\mod6 ) \end{cases} \end{eqnarray}
補足:合同式とは
合同式とは「あまりに着目した等式」です。以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ:整数問題(2022・京都大学)
今回のまとめは以上です。
- 実験をすることで、問題の規則性を考える
- 倍数やあまりに注目して場合わけする
- mod6(6で割ったあまり)を考える
以上で「整数問題(2022・京都大学)」の解説を終わります。
少しでも勉強の参考になれば幸いです。それではまた。
コメント