今回は、「ヘロンの公式」について解説します。
3辺の長さから、面積を求められる便利公式です。
証明(導出)過程にも学びがありますので、ぜひ一緒に見ていきましょう。
ヘロンの公式
$$S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$$
ただし、\(\displaystyle{s=\frac{a+b+c}{2}}\)
ヘロンの公式使用例①
図の三角形の面積を求めよ。
まず、sを求めます。
3辺足して、2で割る
$$s=\frac{5+3+6}{2}=7$$
ここで、「ヘロンの公式」に当てはめて
$$面積=\sqrt{7(7-5)(7-3)(7-6)}$$
$$=\sqrt{7\times 2\times 4\times 1}$$
$$=2\sqrt{14}$$
ヘロンの公式使用例②
図の三角形の面積を求めよ。
まず、sを求めます。
3辺足して、2で割る
$$s=\frac{5+3+7}{2}=\frac{15}{2}$$
ここで、「ヘロンの公式」に当てはめて
$$面積=\sqrt{\frac{15}{2}(\frac{15}{2}-5)(\frac{15}{2}-3)(\frac{15}{2}-7)}$$
$$=\sqrt{\frac{15}{2}\times\frac{10}{2}\times\frac{9}{2}\times\frac{1}{2}}$$
$$=\frac{15\sqrt3}{4}$$
ヘロンの公式ココがすごい!
ヘロンの公式のメリットは、
三角形の面積を、3辺の長さから求めることができる
というところです。余弦定理などを使って、角度を求める必要がないので、便利です。
ヘロンの公式 証明
それでは、証明もみていきましょう。
余弦定理から
$$cos\theta=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}$$
\(\require{cancel}\)三角関数の相互関係から
$$sin\theta=\sqrt{1-\{\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}\}^2}$$
三角関数の面積公式から
$$面積=\frac{1}{2}\times a\times b\times \sqrt{1-\{\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}\}^2}$$
ここからは式の整理をします。まず、ルートの中に全て入れて
$$=\frac{1}{2}\times a\times b\times \sqrt{\frac{-a^4-b^4-c^4+2a^2b^2+2b^2c^2+2a^2c^2}{4a^2b^2}}$$
$$= \sqrt{a^2b^2\frac{-a^4-b^4-c^4+2a^2b^2+2b^2c^2+2a^2c^2}{16a^2b^2}}$$
$$= \sqrt{\cancel{a^2b^2}\frac{-a^4-b^4-c^4+2a^2b^2+2b^2c^2+2a^2c^2}{16\cancel{a^2b^2}}}$$
$$= \sqrt{\frac{-a^4-b^4-c^4+2a^2b^2+2b^2c^2+2a^2c^2}{16}}$$
aについて整理します。
$$= \sqrt{\frac{-a^4+2(b^2+c^2)a^2-b^4+2b^2c^2-c^4}{16}}$$
$$= \sqrt{\frac{-a^4+2(b^2+c^2)a^2-(b^2-c^2)^2}{16}}$$
$$= \sqrt{\frac{-a^4+2(b^2+c^2)a^2-(b+c)^2(b-c)^2}{16}}$$
$$= \sqrt{\frac{-\{a^4-2(b^2+c^2)a^2+(b+c)^2(b-c)^2\}}{16}}$$
因数分解していって
$$= \sqrt{\frac{-\{a^2-(b+c)^2\}\{a^2-(b-c)^2\}}{16}}$$
$$= \sqrt{\frac{-\{a+(b+c)\}\{a-(b+c)\}\{a-(b-c)\}\{a+(b-c)\}}{16}}$$
$$= \sqrt{\frac{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}{16}}$$
ここから、公式に近づけていきます。
$$= \sqrt{\frac{(a+b+c)}{2}\frac{(-a+b+c)}{2}\frac{(a-b+c)}{2}\frac{(a+b-c)}{2}}$$
$$= \sqrt{\frac{a+b+c}{2}(\frac{a+b+c}{2}-a)(\frac{a+b+c}{2}-b)(\frac{a+b+c}{2}-c)}$$
ここで\(\displaystyle{s=\frac{a+b+c}{2}}\)とすると、
$$=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$$
式を整理していく過程は少し大変ですが、流れは、
余弦定理でcos求める → 相互関係でsin求める → 面積公式
の流れで、証明しているだけです。
公式を覚えることよりも、この流れで面積が求められることの方が大切です。
まとめ
- ヘロンの公式を使うと、三角形において、3辺から面積を求めることができる
- 便利な公式だが、余弦定理→相互関係→面積公式 な流れも大切
以上ヘロンの公式でした。
面積を求める方法や公式は数多く存在ましす。
どの公式を使って解くかを考えることは、数学のセンスをあげることにもつながると思います。
少しでも参考になれば幸いです。
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