今回は、「フェルマーの小定理」について解説します。
今回の記事を読むと以下のことがわかります。
・フェルマーの小定理とは
・フェルマーの小定理の証明
・フェルマーの小定理の利用方法

この記事は、「わか」が執筆しています。
私「わか」(https://twitter.com/wakkachan2019)は、国立大学数学科を卒業後、数学教育に10年以上関わっています。
フェルマーの小定理とは
フェルマーの小定理

まずは定理を確認しましょう!
p:素数
$$a^p\equiv a \pmod{p}$$
合同式は、「あまり」にのみ着目した等号で、今回の場合
「\(a^p\)をpで割ったときのあまり」と「aをpで割ったあまり」が等しいことを表しています。
合同式に関しては以下の記事を参考にしてください。
例

フェルマーの小定理の例です
\(3^5\equiv3\pmod5\) 「\(3^5\)と\(3\)は\(5\)で割った余りは等しい」
$$3^5\equiv243\equiv3\pmod5$$
\(2^7\equiv2\pmod7\) 「\(2^7\)と\(2\)は\(7\)で割った余りは等しい」
$$2^7\equiv128\equiv2\pmod7$$
フェルマーの小定理:証明
フェルマーの小定理の証明

フェルマーの小定理の証明を見ていきましょう。
p:素数
$$a^p\equiv a \pmod{p}$$
を示す。
(1)a=1のとき
$$1^p\equiv1\pmod{p}$$
(2)a=kのとき
$$k^p\equiv k\pmod{p}$$
と仮定する。
a=k+1のとき
$$(k+1)^p=k^p+\underbrace{_pC_1k^{p-1}+_pC_2k^{p-2}+\dots+_pC_1k}_{pの倍数}+1^p \dots(※補足)$$
$$\equiv k^p+1\pmod{p}$$
$$\equiv k+1\pmod{p}$$
(1)(2)より
$$a^p\equiv a \pmod{p}$$
数学的帰納法を利用したこの証明方法もよく出題されます
補足
以下の事実を利用しています。
pが素数のとき \(_pC_k\) はpの倍数 \((k=1,2,\cdots,k-1)\)
$$_pC_k=\frac{p(p-1)(p-2)\cdots(p-k+2)(p-k+1)}{k(k-1)(k-2)\cdots2\cdot1}$$
pは素数なので、分母のどの整数とも約分することができない。
したがって、\(_pC_k\) はpの倍数 \((k=1,2,\cdots,k)\)
フェルマーの小定理:利用方法
フェルマーの小定理をテーマにした入試問題
p を素数とする。
(1) \(_pC_k (k=1,2,\cdots,p−1)\)は、いずれもpで割り切れることを証明せよ。
(2) (1)を用いて、すべての自然数nに対して、\(n^p −n\)は\(p\)で割り切れることを証明せよ。
(1974 早稲田大)

これは記事前半で紹介した証明そのものが出題されていますね
フェルマーの小定理を利用すると1撃で解ける問題
nが2以上の自然数のとき \(n^7-n\)が7の倍数であることを示せ(2006・日本女子大学)
フェルマーの小定理より
$$n^7-n\equiv n-n\equiv 0\pmod7$$
したがって、\(n^7-n\)が7の倍数
\(n^5\)の1の位と\(n\)の1の位が一致することを示せ
(1)フェルマーの小定理より
$$n^5-n\equiv n-n\equiv 0\pmod5$$
よって\(n^5-n\)が5の倍数
(2)
nが奇数のとき \(n^5-n\)は2の倍数
nが偶数のとき \(n^5-n\)は2の倍数
よって \(n^5-n\)は2の倍数
(1)(2)より \(n^5-n\)は10の倍数
\(n^5\)を10で割ったあまりと\(n\)を10で割ったあまりが一致する
したがって\(n^5\)の1の位と\(n\)の1の位が一致する
フェルマーの小定理:まとめ
以下が「フェルマーの小定理」のまとめです。
・フェルマーの小定理:pが素数のとき \(a^p\equiv a \pmod{p}\)
・フェルマーの小定理は、「あまり」と「素数」に着目した定理
・2項定理を利用することで証明することができる
・大学入試の「整数」の分野で、導出過程も含めてよく出題される

以上で「フェルマーの小定理」解説を終わります。
フェルマーの最終定理をテーマにした入試問題の記事はこちら
フェルマーの小定理を利用した入試問題はこちら
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